2012年7月14日土曜日

発表を聞いて3(言語教師としてのパーソナリティについて)

Tさんはやはり自分が好きなんだろうと思う。それとともに、他人も好きで、人とかかわり合うのが好きだ。発表にもそれが表れていました。これは、言語教師というよりも教師にはとても必要な要素であり、かつ、けっこうしんどいかもしれません。


パーソナリティがテーマでした。金子みすゞの詩を思い出しました。

私と小鳥と鈴と

私が両手をひろげても、/お空はちっとも飛べないが、/飛べる小鳥は私のように、/地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、/きれいな音は出ないけど、/あの鳴る鈴は私のように/たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私/みんなちがってみんないい。

Tさんの話は、まず自分の生い立ちが自分のパーソナリティにどうかかわるかを説明することから始まりました。特に祖母の話はとてもいい話でした。Tさんの人とのつながり方の基本がどこにあるのかがよく分かりました。

話の大筋は、恩師の先生とアルバイト先の大手コーヒーチェーン店での自身の経験でした。二つの話は、人との接し方で共通してました。恩師の先生が生徒とどう向き合っているのかをインタビューで聞き取り調査をしました。経験豊かな先生で、話の様子からするととてもいい先生のようです。自分のパーソナリティを生かした実践が授業に反映されているようです。TさんのロールモデルとしていまもTさんに影響を与え続けているのでしょう。

大手コーヒーチェーン店での経験は、やはりTさんの今日に大きく影響を与えているようです。接客という観点から見れば、教育にも共通する考え方があります。言語教育は、言語の構造や機能をただ教えればよいという訳にはいきません。コミュニケーションという要素と文化という要素を同時に考える必要があります。大手コーヒーチェーン店の理念が、働く人や顧客のことをまず考えることにあるということは、なるほどと思いました。

「分かった!」「できた!」という成功体験は、学習者にとっても、教師にとっても大切です。恩師の先生も大手コーヒーチェーン店の理念も、それを大切にしているということが基本にあるようです。それとともに、Tさんも強くその考えに支えられていると感じました。

人と接するのは楽しいこともありますが、嫌なこともたくさんあります。恩師の先生が感情をある程度抑えて生徒と接するというのは、自分に対する戒めかもしれません。「みんなちがって、みんないい」は、そのとおりだと思うのですが、実はむずかしい。言語教師としては、ことばの学習を通した文化理解能力(intercultural communicative competence)の育成につながります。

Tさんの考えは、まだうまくまとまっていないかもしれませんが、ほぼよい方向に向かっていると思います。全体をよく見ていると感じました。

ありがとう。乱筆乱文ご容赦。

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