2014年7月28日月曜日

まとめ

まとめ

読ませてもらいました。あえて形式についてはあまり言わないようにしました。そのため、感想文のようなものもありましたが、まとまってはいないが、おもしろいものもありました。たぶんみなさんは忙しいのかな?というのが率直な感想です。

レポートに関しては、やはり中身が問題です。調査をしたか?調査から何か分かったか?その根拠は?「なるほど!」と思わせるか?などです。今後みなさんが書くことになるだろうリサーチ・ペーパーの形式も大事ですが、やはり内容です。発想はよくても内容がなければ意味がないでしょう。

私はこの授業では、やはり「考える」「自己を探求する」ということを重視しようと思っていました。それも答えのないような問題を「考える」、あるいは、複雑な状況にいる「自己を探求する」しながら、教師としての考え方を身につける、多様な状況に「自分の頭で考える」あるいは「自分の問題を他者と共有しながら探求する」ということをしたいと思いました。目的は達成されませんが、私自身、みなさんと過ごした何ヶ月かはたいへん貴重で勉強になりました。ありがとう。

レポートの評価のポイントは、その点からさせてもらいます。成績とみなさん自身の評価は違います。教師となる人、教育に関心のある人はぜひいつでもいっしょに考えましょう。声をかけてください。

以下レポートの感想(順不同)

1英語教育におけるTPR

Total Physical Responseはとてもおもしろいアプローチです。授業ではもっと利用されるべきでしょうね。多くの文献もあり、実践もあります。もっと探求する必要があるでしょう。これを機会にもっと研究してください。英語授業に適宜利用することは効果的です。

2リフレクティブ・ラーニング

ちょっと量が少なく、単なる感想なので説得力はありませんが、「振り返り」は大切です。また、「間を取る」ことも大切です。それはどうしてですか?また、どうやってそれをするのですか?などを論じないと意味がないでしょう。発想はとても好きです。

3外国語授業における教師の役割

レポートしてはとてもよくまとまっていて、文献なども適切にあります。教師は有機的であるべきという結論もよいでしょう。しかし、多くの心ある教師はそうしようとしているような気がします。では、どうして変わらないのでしょうか?それが大切だと思います。

4外国人英語教師からみた日本の生徒

おもしろいと思います。興味がありますね。もっとデータを集めて、焦点をしぼれてきたら、とても貴重な研究になるような気がします。なんとなく根拠のないステレオタイプの考え方があるような気がするし、状況によって違うし、教師と生徒(学生)意識の違いがあるように思います。ぜひ探求してもらいたい。

5英語の早期教育

塾はたくさんあります。ここではある有名な塾に焦点を当てた。ちょっと調査が足りないのが残念です。無理にまとめてますが、もっともっと実態を調査しないとレポートの意味がないかもしれません。着眼点はとてもよかったので、もっと探求する気持ちを。

6外国人留学生・編入生が日本人在学生に与える影響

発想はとてもおもしろいし、自分の興味に適した話題だったと思います。多言語多文化が当たり前の国からすると日本はだいぶ違う環境ですが、これからは変わっていくべきだと思います。その点で、もう少し深く追求して、さらに教師の本音に踏み込むべきでしょう。

7教師と子どもの変容につながる授業観察の観点と教師に対するフィードバック

データがあってとても興味深いです。背景をもっときちんとまとめて、調査対象と方法を明確に整理して示し、結果と考察をきちんとすれば、かなり価値があるように思います。授業というよりも、学習支援指導活動に焦点を当てて、そこでの学びを見るようにするとよいと思いました。

8南米とヨーロッパの英語教育比較

リサーチペーパーの形式を理解し、きちんとまとめるとおもしろいと思いました。データは貴重で、もっと教師と生徒との関係に焦点をしぼり、やはり日本の英語授業の教師と生徒の関係を論じてほしかったですね。なんとなくデータを集めて無理矢理まとめた感じ。

9学習指導要領と現場の声

一所懸命調べた努力は認めたいと思うが、学習指導要領に関する背景はもっと調べないといけません。現場の声は貴重です。自分の考えや考察は、現場の声というデータを根拠にまとめないと説得力がありません。現場の声は貴重なので、それを大切にしてほしい。

10 学校外の英語教師研究

貴重なインタビューデータがありますが、全体的にうまくまとまっていないのが残念。塾などの教師の声はあまりまとまったデータがないので、貴重です。特に、さいごの「教えることに集中できる塾や予備校が過ごしやすい」は興味深く追求したいテーマです。

11英語を使って授業をする

自身の教育実習体験を通じて、英語で授業をすることの意味を考えた。あまり大きく考えずに、自分自身の課題を解決することを考えた点は評価に値します。説得力もある。この授業のテーマに最も合っていると思います。欲を言えば、背景をきちんと考えたい。

12 沖縄の米軍基地と英語演習

かなりおもしろいテーマです。何気なく訪れた場所でふとした疑問を発端として調査が始まり、そこからさらに出会いを通じて、テーマを追求するというのは、教師研究としては重要な探求方法です。まとめるのはむずかしいかもしれないので焦点をしぼって探求するといい形でまとまると思います。

13 これからの英語教師

レポートが感想文のようになったのが残念。アンケート結果は少ないけどけっこうおもしろい。学生が教師に対して持っているイメージは貴重なデータだと思う。その点をもっと分析すべきだった。他者を知って、かつ、自分を知る、ということから教師の研究は始まる。

14 教師は私生活でも模範的であるべきか

これも感想文のようになってしまったのが残念。ぜひ研究者の視点に立って、まとめて欲しかった。というのは、このテーマけっこう大切なテーマで、モデルという視点からすれば、結構文献はある。インタビュー結果は貴重だし、教師としては悩ましい問題で、とても興味深い。

15 観察の徒弟制と教員研修

うまくまとめようとした感じだ。テーマはとてもおもしろいし、文献もよく調べている。形式もきちんとして、この授業では一番求めていたレポートに近い。データは結構おもしろいと思う。分析のしかたとまとめ方が課題だ。養成課程の学生の認知をBALLIでまとめるだけでも貴重なデータだし、インタビューもテーマをしぼって分析することで、何か大切なものが見えるような気がする。ぜひ探求していほしい。

16 高校教師の意識(仮題)

母校の教師にインタビューして、教師の意識を調べてみた。調査の視点がぼんやりとしているので、まとまりに欠けるが、たぶん自分の母校を再度違った視点で見るという点では価値があると思う。しかし、本当に知りたいことは何だったのだろうか?

このブログは私のメモですが、何か疑問に思ったことがあれば連絡ください。どなたか「言語教師認知」の研究を深くやりたい人はぜひお願いします。

では、またどこかで。

第6回発表

第6回発表

Nさんの教師と子どもの変容について

Teach for JapanというNPO団体での活動を背景として、授業観察について話してくれました。「教える」「学ぶ」ということは、様々な状況が考えられるんだと思います。この活動の「教える」「学ぶ」は、いわゆる小中高の教育とはちょっと違うのでしょうが、若い人たちがボランティアで子どもと向き合う活動をしているのは立派だなと思いました。Nさんも熱心に教育を考えているし、授業観察ということを真剣に考えているのが印象的でした。観察(observation)というのは、私が考えている授業研究(lesson study)では最も大切なことだと思っています。見ている人は「私」です。見られている人は「教師」であり「生徒」であり、「教師と生徒の関係性」であり、多様です。Nさんは、観察を通して「変容」ということを考えました。ここでは観察する人と観察される人の省察を通して、気づきを見ようとしています。その際に言語化ということが重要となりますが、私は話を聞いていて、本当にそれで「人は変わるだろうか?」と思いました。これはむずかしい問題だと思っています。人が持っている信条・信念(beliefs)はかなり強固です。そうは簡単に変わりません。また、あまりころころと変わるのもどうかと思います。おそらく「変容」というよりは、自分の信条・信念(beliefs)をもとにして、その状況にうまく合わせるために、どうするかという問題かと考えました。その際に、観察し、観察を通して、互いに省察をくり返し、適応する、ということが、成長につながるのかな、と考えました。Nさんが探求しようとしていることはたいへん面白いと思います。私にもよく分かりませんが、フィードバックをこうしたら、こう変わる、という単純なことではないように思いますが、観察することにより、もっと何かが見えて来るでしょう。これは教師の研究としてはとても大切なことです。

Aさんの教育実習

Aさんは、この授業を聴講として取ってくれました。何か教師になるための準備として役に立っただろうかと危惧します。教育実習の話を率直にしてくれましたので、ここでは教育実習中のA さんの授業を見に行きましたので、それについて感想を一言述べておきます。教育実習というのは短いし、多くの人が充実した経験をするようです。しかし、その経験はかなり多様です。同じような経験をしても決して同じではありません。さて、「3週間で何を学んだのでしょうか?」と自問してみると分かります。授業のやり方、生徒の扱い方、学校のしくみなどなど、それなりの成果はあったはずです。「英語で授業をする」「生徒のことを考える」「文法はやはり大切だ」など、自分の教育観に何か影響を与えたでしょうか?私は、教育実習でいつも思うことは、その人がどういう目的で教育実習に行ったか?どういう教師と出会ったか?どんな生徒と向き合ったか?などで成果はかなり変わると思います。また、教育実習後から実際に教師となるまでがまた大切だと思います。さて、Aさんの授業ですが、私が見たのはCLILと読んでいる授業です。私はCLIL的な考え方を持って英語授業をすることはとても大切だとずっと思っています。AさんのCLILは、英語を何か興味ある内容を扱って、内容に焦点を当てることで、英語を使う活動を、主体的にすることです。英語という言語の知識や技能に明確に焦点を当てるのはではなく、内容に焦点を当てながら、英語という言語と日本語という言語と文化理解を「考える」のです。授業は決して見栄えがよいものではありませんが、生徒はけっこう満足して「学び」ます。Aさんの授業のときも、生徒がそのときの内容に興味を持って「学んで」いました。一番大切なことは、Aさんが「学ぶ」ということです。ぜひこれからも実践してほしいです。

Mさんの教員養成課程について

Mさんは、とてもよく勉強していて、おそらくこのクラスで一番「言語教師認知(language teacher cognition)」を理解している人だと思います。ぜひ興味を持って追求してもらいたいと話を聞いていて思いました。日本の教員養成システムには問題が多いです。みんな分かっているのに変わらないのです。その背景には歴史があります。おそらくこれからも変わらないでしょう。しかし、実際に英語教師となっている若い人はだいぶ昔とは変わっているようにも思うことがあります。そのような人が実際の教育現場に入ったときに、どのように教師としてスタートを切れるかどうかでその後がかなり変わります。養成課程ではSLAなどの研究と教師教育などの理論と実践においては少しずつ内容はよくなっています。問題はその量と質です。圧倒的に少ないし、そのような教育を受けた人が必ず教師になる訳ではありません。また、教員採用試験で、教員養成で求められていることがそのまま反映されている訳でもありません。受験や部活動やその他の学校教育に内在するシステムに抗う事はやはりできないし、それは社会のニーズでもあるので、それに従わない訳にはいきません。非常にむずかしい問題がたくさんあります。しかし、私はMさんが興味を持って探求しようとしていることは大切だとずっと思っています。「教師が考えないかぎり何も変わらない」ということです。英語で授業をするかどうかは表面的なことです。確かに教師は英語を話すことに自信がない人が多いかもしれませんが、そのように思わせてしまう何かがあるのでしょう。私も教員養成にかかわる一人として、Mさんの話には考えさせられます。ぜひいろいろと考えてほしいとつくづく思います。

みなさん、ありがとう。さいごにレポートの感想を次の投稿でしておきます。


2014年7月13日日曜日

第5回発表会

HさんのKUMONなどの英語塾や英会話教室の教師

いろいろと何を調査するのか迷っている様子が分かりました。それっていうのは無駄のような気がしますが、けっこう大切なことです。最終的に行き着いたのが、こどもへの英語教育でした。身近にいたKUMONで教えている人に聞いてみました。質問はあまり深い質問ではありませんが、KUMONを知る意味では重要です。KUMONは世界的にもLiteracy教育で知られています。興味ある人はウェブを見てください。

KUMON

そこに、次のようにKUMON METHODを説明しています。

Learning How to Learn

Kumon is an academic program like no other. Instead of passively receiving instruction from teachers or tutors, Kumon Students actively develop self-learning skills. Here’s how.

Each student progresses at his or her own pace through an individualized program of worksheets carefully planned by the Instructor.
Students do daily assignments that take about 30 minutes per subject— in two sessions a week at the Kumon Center, and the other five at home.
Step by logical step, students steadily build a solid grasp of math and reading, and become more confident and motivated with each worksheet solved.

「学び方を学ぶ」ということです。

教師の役割については

The Kumon Instructor

The Kumon Instructor guides, assesses and encourages your child every step of the way. The Instructor is also there to support you as well – providing open communication throughout your Kumon experience.

教師の役割は、案内、評価、励まし、です。

調査のポイントは、英語でそれがどのようにできるのかということでしょうね。問題もあるでしょう。

さらに、他の塾や英会話を調べてみるということですが、私は、KUMONだけにしぼってもっと深く考えてみるのがよいと思いました。いずれにしても、うまくまとめようとせずに、実態を的確に理解することがよいと思います。

調査内容はおもしろいので期待します。

Nさんの母校の教育と外国から留学生などの影響

私は、N さんの母校の教育に興味を持ちました。日本の教育も様々な取り組みをしているんだなと感じました。英語圏へ行ってそこで教育を経験する、外国から留学生や英語が堪能な編入生などを受け入れ、生徒の学習環境を活性化しようとかなり努力していて、いい学校だと思いました。

Nさんの母校だけではなく、他の人たちが卒業した学校などの話を聞くと、各学校とも様々に努力してよい教育をしているということが分かります。また、学校によってけっこう違うということが分かるのですが、大学受験や部活動などに関する目的は共通しているかもしれません。もっと多様な進路や活動があってもよいかもしれません。

Nさんは母校の先生にインタビューしました。とても熱心なよい先生だと思います。教育は先生あって成り立つものですが、先生があまり前面に出ないほうが学校は活性化するように思います。Nさんの母校はたぶん教師と生徒の関係が近く、互いに信頼が厚いのかなと思いました。

さて、それはそれとして、調査の方ですが、先生にもっと深くいろいろと質問できればおもしろいと思いました。外国人留学生を受け入れる際の苦労、もっとこうしたいなどの展望、外国人生徒との日本の生徒との交流、英語教育への効果、他教科を英語で教えるなどの可能性、大学受験との関連性、中高一貫の課題など、本音が聞けるとよいと思います。

それが無理であれば、Nさんは卒業生ですから、Nさんの経験をもとにした留学生の意義、留学の意味などを再度考えてみてはどうでしょう。あるいは友人に聞いてみてはどうでしょうか。

あまりきれいにまとめようとせず、外国からの留学生についての教師の意図と実際の生徒から見たその意義を考察してみてはどうでしょうか?私はその点をもっと知りたいと思います。

Yくんの教師の役割

Yくんの発表はとても上手で、まとまりを持っていました。背景もきちんと理解し、リサーチ方法の観点もよくできています。うまくまとめられると思います。

教師の役割というのは、結論がありそうでないかもしれません。多様な結論があるでしょうね。歴史的、社会的、経済的、文化的などを考慮すると大きなテーマです。教師の定義がかなり幅が広いし、英語教師という括りもかなり広いからです。


この授業は一応、中高の教員養成課程に関係する内容と関連するので、その点から英語教師を考えると、次の法的な定義をベースに考える必要があります。

ーーーーーーーーーー
法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。(教育基本法)

教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。(教育公務員特例法)
ーーーーーーーーーー

Yくんが言う「教師は学び続けなければならない」というのはその通りであり、それだからこそ教師は面白い仕事だとなります。また、教師は「全体の奉仕者」とされるので、生徒の学習などの支援をし学習意欲を喚起することが大切となります。

大学進学率のデータなども示し、教師を大きく捉えていますが、私個人としては、このような発表を受けて、教育実習での実際教師体験を重ねることにより、中学や高校での英語教師の役割とその問題点などを論じてはどうかと思います。果たして教師は学び続けることができるのか?あるいは、何をどう学ぶのか?など。

この授業は、当初言いましたが、teacher research(教師によるリサーチ)をテーマとしています。教師は考えること、探求すること、省察することなどを通して、自身の力量を高め、よりよい授業をしていくことが大切です。そのためにはどうしたらよいのかを、Yくんの考えで述べてもらうとおもしろいと思いました。

以上、来週、発表する人も含めて、間違いを恐れず、小さくレポートをまとめようとせず、結論はなくてもけっこうですから、大胆な観点を一応のデータなりを示すことで論じてください。テーマはとてもおもしろいものばかりなので期待しています。





2014年7月6日日曜日

第4回発表会

発表者が多く、議論ができなくてすみません。4つの発表はとてもおもしろい素材が一杯です。私の感想と意見を殴り書きですが書いておきます。参考にしてください。

Hさんの「オールイングリッシュ」の現場実態

Hさんは自身の教育実習の経験を通して、「授業を英語を使って教える(English Medium Instruction: EMI)」について考えたことを話してくれました。実際に教育実習中に出会った先生、以前から知っている先生などに話を聞きました。

「オールイングリッシュ」というのは、たぶん通じるのだと思いますが、私は英語でコミュニケーションしているときにあまり聞いたことがありません。でも、世界のどこでも外国語を教える教師は工夫していることです。

Native Speakerからすると、日本語が話せる人もけっこう悩むことです。人によっては、日本語を使って教えると日本語で授業をしてしまうそうです。また、英語が堪能でも授業では英語をコミュニケーションの道具としては絶対に使わないという信念を持っている人もいます。

私は、最近いろいろあってよいのではないかと思っています。というのは、英語の教師になろうとする人や若い英語の先生は、英語をコミュニケーションの道具として話すことには以前よりもはるかに多くなっていると思います。翻訳や文法の知識という点では劣る人もいるかもしれませんが、余分な知識はかえって学習者には迷惑です。変なうんちくを語ってお茶を濁す授業は面白い面もありますが、学習者からすれば目的が違うのではないかと思います。

結論的に、Hさんが述べたことは正しいと思います。しかし、安易に結論づけられる問題ではないので、教師となるにしてもならないにしても、英語という言語と日本語、さらにはその他の言語については注意しながら考えていくことは重要だと思います。

Sさんの教育学部の学生から見た教師

当初調査したいことと実際にアンケートしたことが多少噛み合ない点がありましたが、調査の視点は面白いと思いました。また、質問項目が可能性のある興味深い内容でした。もっと時間があるときっといい調査結果が出ると思います。

教育学部の学生さんがどのようなカリキュラムで学習しているのかは、私は知りません。背景知識でその点に触れてもらえるとありがたいですね。日本の教育学は、教師を養成する目的ではありません。この点は他の国と微妙に違います。その伝統の中で教育を受けた人が学校の英語教師をどう考えるのかは、たとえば、教育学の先生が、英語教育をどう考えているのかなどと関連するのかもしれません。

私は、言語教師というのは、言語を教える教師としての専門性を持った方がいいと思っています。広く「人格形成」などと考える、言語学習の本質が変わると思うからです。「人間形成」という観点から考えると、たぶん「教育」「学び」「学校文化」という少し大きなな枠組みを学校教育を考える必要が出てきます。しかし、言語という視点から英語教育を見ると、英語と日本語、英語を使って何かをする、英語とその他の外国語、英語と文化などと、アプローチの仕方が変わるはずです。

日本はちょっと複雑で、教師がかわいそうです。その意味から、Sさんの調査はおもしろいと思います。あまりまとめようと思わず、好きなことを、自分が考える日本の英語教師というものを、アンケート結果と併せて論じてはどうでしょうか?

Oさんの思考する英語授業

おもしろい考え方です。私はOさんに賛成です。人は何をするにも基本は「思考」です。思考することがなければ何も面白くないでしょう。英語教育はその点でかなり批判を受けてきました。逆に言うと、それがために「英語で英語の授業をする」あるいは「コミュニケーション能力を育成する」などがないがしろにされ、文法訳読が廃れないのです。

文学や言語を考えることは、英語教育ではかなり探求されてきました。かなり深く研究されたとも言えます。その意味では、これまでの英語教育は「思考」を形成する上では貢献したかもしれません。いまでも、進学校や予備校などで単に受験問題を得だけの授業は、決して人気がある訳ではありません。何かを考えさせてくれる授業の方が学習者には好まれる傾向があります。

しかし、広くあちらこちらを見ると、それでは日本の中だけで完結してしまう。鎖国状態あるいは翻訳社会状態、あるいは漢文学習状態で、多少問題があります。もっと多くの人がとりあえず英語を通して交流したりできる必要はやはりあると思います。

Oさんの「間を作る授業」とN先生の「間を埋める授業」は対立するものではないと思いますが、目標は同じなので、それを深く考えてみる価値は多いにあります。

さて、reflective learning (teaching) に関してですが、「振り返り」ということでさかんに取り入れられるようになっています。しかし、そんなに簡単なことでしょうか?というのが、私の素朴な疑問です。教師が授業の終わりで、「今日の授業の〜〜〜について振り返りましょう」ということで、学習者は成長するでしょうか?Oさんが言う「思考する授業」「間を作る授業」は、たぶんcritical thinkingにつながると思いますが、言うは易し、行うは難しという気がします。

でも、私はOさんの目指すところは分かるような気がします。それほどうまく行かないと思いますが、様々に「思考」や「哲学」をもっと重要なことと考えることは、たかが英語でも必要だと考えます。

Kさんの母校の国際科と普通科

高校も多様化して、一概に高校教育を定型化して論ずることはむずかしくなったなと感じました。つまり、大学に来るまでの学習者の英語学習経験は多様になっている可能性があると感じました。この大学はどちらかと言えばインターナショナルな大学教育で、多様な学生が多くいます。私は実態はよく知りませんが、私が本務として務めている大学とは文化も目標も違います。

国際あるいはグローバルということばは流行のように使われます。果たしてどういう意味で使われているのでしょうか?その点で、母校の国際科と普通科の違いを教師の視点を通して考えてみようという意図はたいへん面白いと思いました。しかし、発表のときも指摘しましたが、話を聞いた先生がかなり公式的な発言をしているように思いました。それは当然ですが仕方のないことです。それはそれとして貴重なインタビューです。

しかし、問題を多角的に捉えるために、生徒の視点、Kさんの視点、他の教師の視点、地域の視点などが加味できれば、母校をより明確に捉えることができ、国際科と普通科、学校と塾などの役割などが理解できるでしょう。

私が個人的に興味を持つことは、インタビューした先生が熱心な先生なので、もっともっと先生が現在抱えている課題や問題などに踏み込むことができれば面白いと思いました。おそらく、かなり忙しい状態で働いていると思います。その原動力は何かなど、探求できれば、おもしろい。

いずれにしても、調査の視点は明確にする必要があると思いました。

忙しい発表で申し訳ない。