2014年6月17日火曜日

Kさんの沖縄の米軍基地と英語学習

Kさんは、沖縄が好きで何度も足を運んでいる内に、ちょっとしたきっかけで英語教育に興味を持ったということです。元々の興味は、多文化ということがテーマのようですが、この授業と関連させて、「英語教師」という視点で沖縄の英語学習と文化を見たということでしょう。

Kさんの物事を探求しようという姿勢は見習うべきものがあります。思い立ったらすぐに行動するというのは、なかなかできることではない。私も沖縄は好きな場所で、機会があれば学校を訪れたいと思うことが多々あったが、ついつい食べるほうに向いてしまいました。

「沖縄はアメリカに近い」という思い込みが、多くの人にあるのかもしれなません。それも歴史的には複雑な問題を抱えた近さです。台湾やシンガポールや香港やアジアの多くの地域と、沖縄をいっしょにすることは無茶かもしれませんが、沖縄はその戦争の被害のどこかに位置していて、いまだに文化的にも少し異質な要素を持っていると考えてもおかしくはないでしょう。沖縄の米軍基地の問題は、多くの人にとっては、「外の」問題となり、「外の」人は自分の問題としてはやはり考えられないので、意見を差し挟むのはやめる傾向にあります。

では、英語学習との関連から、この状況をどう見るかという視点は、興味深いです。それも英語教師がどう見ているのかという課題設定は、私としてはおもしろいと考えます。

基地が近くにあり、多くのアメリカ人がそこにいて、教育的には多少交流する機会が多い可能性があるという状況は、動機付けには肯定的に働くと思います。しかし、そこに、「地位協定(the Status of Forces Agreement)」というアメリカ優先の力が存在し、それに地元の人は苦々しい思いを持って生活してきました。仕事という恩恵があることも多く、生活する上では欠かせない状況です。

英語学習という面から、Kさんは、基地の影響を考えました。そこで、学校を訪ね、英語教師にインタビューしてみました。得られたものは現時点では少ないかもしれませんが、Kさんの思い込みと英語教師の反応が微妙に違い、かつ、さらに疑問が湧くという点が、このようなエスノグラフィー調査の醍醐味です。結論はすぐには得られないかもしれませんが、このような調査は、そのプロセスと自分自身の思考がとても大切です。早急に結論を出さず、分からない事は分からないとして、事実を積み重ねることが大切です。

私は、リサーチクエスチョンに設定した疑問を、可能なかぎり多くの人に聞くことから、かなり多くのことが分かるように思います。英語学習と基地は表面的には多くの面で関連がなさそうに見えますが、深い部分では関係していると思っています。人間の「こころ」は複雑ですから、「基地があって、仕事があって、問題があって、。。。」という環境の中で英語を学ぶ、あるいは、英語を教えるということは、他の地域の英語学習とはおそらく違うでしょう。表面的には、学習指導要領や受験などの目標で設定される英語学習とそれに従う英語教師の仕事は、ほぼ同じように見えますが、実はかなり違うと思います。これは、何も沖縄に限ることなく、日本全国の各学校やそれを取り巻く文化で異なります。

英語教師の「こころ」は複雑です。それを理解することは成長につながります。英語自体は言語であり、多くの人には「道具」です。しかし、英語の背景にある文化や思想や知識は、日本語や他の言語とは異なります。英語教師はそのようなことを理解しておく必要があると考えています。授業でも述べた通り、英語教師は「外国語教師」です。さらには、「言語教師」です。だからおもしろい仕事だと思います。

文化と言語は切っても切れない関係にあります。その点から「文化」ということを考えると、次の資料が参考になるかもしれません。

multi-                             多文化
pluri-    culture     複文化
inter-        文化間

Culture in language teaching

次回からはこんなに時間がかけられないので残念ですが、さらに楽しい発表を期待しましょう。

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