2014年6月22日日曜日

第2回発表会

Hさんの発表 学校外英語教育

タイトルが大きく、かなり広い範囲をカバーするトピックですが、あまり英語教育の中では話題にならない領域です。が、学校外の英語教育は、英会話や進学のための塾や予備校のことで、Hさんが調査したいのは、そのような場所で教える英語教師ということだと思います。いわゆる公教育としての小学校から高校までの学習指導要領に則った教育課程のもとで提供されている英語教育は、それに携わる教育職員免許状を持った教師によって行われます。それに対比した英語教育に携わる教師を調査しようという趣旨です。

私はとてもおもしろいと思います。まずは、ベースになる実態がどうなっているかということになると、かなり複雑で、すべてをカバーすることはできないでしょう。この調査委では、ポイントをしぼることが大切です。

3人の人を対象に調査すると言っていました。私はそれで十分だと思います。ポイントは、

基礎調査

1)その人が関わっている状況(塾ならどういう塾か?その業界の現状など)を確認
2)その人の背景(どのような経歴で現在の仕事に携わっているのか?など)の確認
3)現状どのような英語教育を行っているのか確認
4)公教育とのかかわりの確認
5)英語教育に対する信条・信念
6)その他(性別、年齢、教育、海外経験など)

Hさんが知りたいこと

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聞いていて、私が知りたいことをいくつか書きます。参考にしてください。

英会話教室などの先生や私塾の先生などは、仕事でやっている人もいますが、かなり強い考え方を持って指導に携わっている人もいます。日本の息苦しい学校教育が嫌いで、あったり、何か嫌な体験をしたり、あるいは、海外での実体験から独自の教育をしたいなどという人もいます。そのような本音が聞けるとおもしろいと思います。

また、Hさんの塾体験を通じて考えていたことと、現実に塾や予備校で教えている先生の考えを、較べてみるのもおもしろいと思います。Hさんが持っている公教育の印象と塾で学んだ事などを率直にぶつけてみて、それぞれの先生がそれについてどう考えるかなどです。

あるいは、いま日本で進められているグローバル教育などの国に方針など、海外などで行われている教育など、広い意味で、どのような教育理念を持っているのか、などもおもしろそうです。

インタビューできるそれぞれの先生の考え方を視点を決めて調査すると、調査結果の意義を大きいでしょう。それとともに、自分自身の英語教育や学校外での英語教育についての考え方の参考にできることが大切です。つまり、自分の問題を解決できるようにそれぞれの先生と話しましょう。よい結果が出ると思います。

様々なこの調査の背景ですが、インターネット上にはかなり多くの塾教師のブログなどがあります。それも参考にするとよいでしょう。

Sさんの「外国人英語教師から見た日本の生徒」

おもしろい観点です。なんとなく「こんなふうに考えているのではないだろうか?」というような考えはあります。たとえば、Sさんも言っていたとおり、「日本の学習者はきちんと教室では静かに先生の話を聞いている(あるいはふりをしている)が、おしゃべりをする」「意見を言わない」「一人で行動するのではなく、まわりを見ながら行動する」などなど。

でも、たしかに、これについてまとまった文献というのは私はあまり知りません。おそらく教育学の方では、英語教育にかぎらずなんらかのかたちで、あると思います。英語教育(English as a Foreign Langauge)の中でも、Native speakerが書いた日本人学習者の研究のような論文を探すとかなりあるような気がします。

たとえば

Analysis of a Japanese Learner of English

Why are Japanese so bad at English?


しかし、これも文法や発音などの学習と関連するようなものが多く、教室文化や学習態度や学習行動を話題としたものは、あまり見つかりません。その意味からすると、ひょっとすると、それほど研究されていない領域かもしれません。

考えてみると、日本でも海外でも多くのNative speakerが日本人学習者に英語を教えています。日本でもJETプログラムが始まって、30年程度経ちます。かなり多くの人が、かなり異なる状況で英語教育に携わっています。多くの人がなんとなく受け止めていることが、あまり根拠のないことかもしれません。

言語教師認知の研究の観点からすると、Native speakerの考え方とnon-Native speakerの考え方は、信条・信念(beliefs)、教え方に関する知識(knowledge)、ある教育環境での思い込み(assumption)、そしてその際の実際の行動(behaviors)などは、やはり多少違うのではないかと思われます。しかし、その実態は分かりません。

Sさんは、まず、身近なNative speakerの先生に聞いてみました。その回答をベースに、もう少し詳しく聞いてみるとよいと思いました。また、他のNative speakerの人にも聞いて、さらに深く聞くとよいでしょう。その際に、その先生がふだんどのように教えているのか、ということと、実際にどう教えているのかを見ることが大切です。

Sさんの話を聞いていて、日本で教えているNative speakerと言われている先生にアンケート調査ができたらよいと思いました。大学から幼稚園までいろいろなところで教えているNative speakerの人に、どのようなバックグラウンドがあり、なぜ日本で教えているのか、日本の学習者についてどのような印象を持ち、何がよい点で、何が悪い点で、改善が必要な点は何か、あるいは、どのように教えているときに工夫しているか、さらには、日本の文化教育システムの問題点や課題などを、インタビュー調査の中から抽出して、統計処理ができるようにアンケート項目を作成して、各領域で50人程度集められればかなり立派な調査になると思います。

他にも方法はありますが、とりあえず、私は彼らがどのように日本人英語学習者と教育文化を捉えているのか知りたいと考えました。

今回は、できるかぎり、聞ける人から話を聞いて、その聞いたことから、research questionsができれば十分だろうと思います。そのためにはどのような文献があるのかを調べられるだけ調べてみましょう。

来週からはあまり時間がないかもしれないので、いろいろと話ができないかもしれませんが、HさんもSさんもおもしろいテーマだと思います。教師のことを知ることは、自分を知ることでもあり、学習者や教育や社会を知ることにつながります。一つの社会調査ですが、どのような社会に言っても役立つ知見が得られるでしょう。

また期待したいと思います。

あたふたと忙しく、文章を見直す暇がありません。誤字脱字などご容赦ください。







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