2012年6月8日金曜日

言語教師の認知(cognition)のとらえ方 2

オーストリアのグラーツ大学で、EPOSLT (European Portfolio for Student Teachers of Languages)を実践しているDavid Newby先生の言語指導法の授業を参観しました。

EPOSTLは、教師になる人が自分の教師としての成長をふりかえるCAN DO リストです。たとえば、


I can create a supportive atmosphere that invites learners to take part in speaking
activities.

というCAN DOの記述に対して、自分がどの程度それができるのかどうかを考える一つの指標とします。

授業では、リーディング指導に関して、このCAN DOを行なっていました。たとえば、

  1. I can select texts appropriate to the needs, interests and language level of the learners.
  2. I can provide a range of pre-reading activities to help learners to orientate themselves to a text.
  3. I can encourage learners to use their knowledge of a topic and their expectations about a text when reading.
  4. I can apply appropriate ways of reading a text in class (e.g. aloud, silently, in groups etc.).
  5. I can set different activities in order to practise and develop different reading strategies according to the purpose of reading (skimming, scanning etc.).
  6. I can help learners to develop different strategies to cope with difficult or unknown vocabulary in a text.
というCAN DOをもとに、リーディングの指導を考えるという内容でした。

EPOSTLは、教師が成長することを考えて作成された教師のポートフォリオです。ヨーロッパ全体の言語教育の枠組みを示しているCEFRと密接に関連した言語教師教育を推進する一つの道具と言えるでしょう。

私は、この授業を観察しました。観察の際には、フィールドノートを取っておきますが、取り方についてこれと言った決まりがあるわけではありません。

観察の際には視点が大切です。つまり、「何を見るか?」です。

教師の発話を見るのか?
教師の行動を見るのか?
教師の指導手順を見るのか?
教師と生徒の関係性を見るのか?
生徒の活動を見るのか?
など。

このような授業観察には、二つの大きな視点があります。

  1. 授業研究 ー 授業改善や向上のための観察
  2. 実態の理解 ー 説明されていることが実際にどのようになっているかの観察
  3. 教師や授業の認知の質 ー 教師のビリーフや意思決定と行動の観察


今回の場合は、2にあたりますが、研究のための観察というよりは、EPOSTLがどう使われているのかという調査です。

いずれにしても、観察の基本は、調査者の目を通して事実を見て、それを事実にそって報告することです。その際は、目的をある程度明確にしておきましょう。

EPOSTLの授業での利用は、私が思っていたよりも、さっぱりとした利用でした。いわば、シラバスのような印象を持ちました。逆に言うと、学生は、EPOSTLにそって学習すればよい教師になれると思いました。

この続きは、授業で。







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