2011年5月11日水曜日

日本の英語教師と英語学習に関する教師認知

日本の英語教師についての雑感

日本の英語の先生について、みなさんはどのようなイメージを持っているでしょうか?

中学校の英語の先生、高校の英語の先生、大学の英語の先生、英語の先生と言っても多様です。英語の発音がきれいな先生、海外事情の話をよくしてくれる先生、文法を分かりやすく教えてくれる先生、受験の際のテストのポイントを的確に教えてくれる先生、歌を歌ったり、映画の話をしてくれたり、おもしろい話をしてくれる先生、厳しくて、読んで訳してテストするだけの先生などなど。

中学校の先生のイメージは、その後の英語学習への興味を左右するとよく言われます。また、中学校の英語の先生と高校の英語の先生の教え方が極端に違うという話も耳にします。

大学の先生は高校の先生の指導を批判し、高校の先生は中学校の先生の批判をし、中学や高校の英語の先生は大学入試を批判し、英語母語話者の先生は日本の英語の先生の批判をしたりすることがあります。

日本の英語教師についてのみなさんのイメージはどうでしょうか?フランス語、ドイツ語、ポルトガル語の教師と違いますか?

前回は、言語学習について話しました。話があちらこちらと行きましたが、教師認知的におもしろいポイントがいくつかありました。

簡単にまとめると次のようなことがありました。もっとあったかもしれません。

文法・訳読、CLTの問題
学習スタイルの問題
授業での母語(日本語)の問題
読書と言語学習の問題
通訳・翻訳と言語学習
言語活動の意味
ことばへのこだわり
英語学習と英語授業(英語授業とは?)
学習ストラテジー
個々を大切にした指導
言語学習と音声
日本の学校教育における英語学習
受験英語の効果と影響 
帰国子女の意味
音読や暗唱は会話につながる 
習ったことと使うこと
オーセンティックな教材の意味
英語以外の外国語の学習 
文法学習の問題
海外生活の意味
ネイティブスピーカー
読み聞かせ
英語という言語と英語科目
カタカナ語

続いて、それぞれが追求したいテーマについて一言:

フランス語教育の現状とフランス語教師のフランス語教育の考え方と英語教育について調べることはおもしろいと思います。予想とすると、フランス語教育の先生の方が、CLTや最近の言語教育方法の動向について敏感かもしれません。英語教育は、大学の場合、従来の英文科的な発想と新しい言語教育の発想が極端になっていることが予想されますが、英語は、とにかくTOEICなどのテスト指向が強いでしょう。
フランス語の先生の教師認知を調べる一つの基準に、アンケート調査か聞き取りの調査をしてみるとよいと思います。

教科書は、やはり教える上でも学ぶ上でも重要です。多くの外国語教科書は、CLT的な構成になっています。つまり、場面や機能にもとづき、タスクをすることで外国語を身につける。文法や語彙はその場面や機能に関連して説明されるという構成です。日本の中高の教科書構成は必ずしもそうではありません。そのあたりを較べてみて、教師が教科書をどう意識して、どう教えているのかも併せて調査すると意味があります。

外国語教育の意義というテーマですが、相当に広いです。なぜ外国語を学ぶのか、どのように外国語を学ぶことがよいと考えるのか、言語というものをどう捉えているのか、などを、教師がどう考えているのかを調査するとおもしろいでしょう。外国語を教えている先生は、基本的に、語学が好きで、外国に興味をもっているでしょう。あるいは、関係の外国の文化に興味を持っているかもしれません。しかし、最近では大学の先生は、必ずしもそのような先生ではなく、専門は全く別で、仕事上、外国語を教えている人もいるかもしれません。日本人が外国語を学んでいる意義をそのような教師がどう考えているかは興味あるところです。

日本語を母語として外国語を教えている教師は、ネイティブスピーカーとは違う考え方をしている可能性はあります。たとえば、日本人は日本や日本語を特別に考える傾向が多少あるように思います。たとえば、日本語を使う場合と英語を使う場合に極端に性格まで変わってしまうような人がいます。私が高校教師のときは、あまり世間を知らなかったので、英語を話す場合はテンションを上げなければいけないと思い込み、悩んだこともありました。外国語学習経験や外国居住経験が教え方にも大きく影響を与える可能性があります。そのあたりを調査してみるとおもしろいでしょう。

言語教師認知の研究は、いわば「臨床言語教育」です。実際の場面の具体的な行動や思考に焦点を当てて、探求し、自分を見つめることです。

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