2016年12月4日日曜日

言語教師に向いている人

Fさんの発表でした。Fさんは第2言語習得(Second Language Acquisition)に興味を持ち、ただいまその基礎を勉強しているようです。言語学習を研究する上では欠かせない学問領域となりました。どのような領域もそうですが、学問というのは分類(taxonomy)を基本として統合にはなかなか向かない傾向があります。SLAは、習得の順序。誤答分析、学習者言語、中間言語などなど、現在は多様な領域に細分化され、その一つ一つがそれぞれ重要な研究領域として確立している。Fさんはまさにそれを始めたばかりで、少し頭でっかちになっているのかもしれません。

私は英語教師としてSLAも勉強しています。若い頃は英語教育も科学的であるべきだと考えて(そういう時代でした)、Krashenの仮説にもとづいて授業を組み立てていました。授業の記録をとり、テストのデータをもとに仮説検証実験的なことを繰り返していました。しかし、どう考えても日々の授業はそうは行きません。教育の場面では何が起こるかわかりません。それに対応しなくては指導はできません。理論と実践はなかなか整合しないことが多いです。

ただし、その中でも、私はcommunication strategyを特に研究した時期があります。学習者言語はどうしてもある時期中間言語的な言語使用の時期があります。また母語話者を理想形とするのも間違いです。統語的にも意味論的にも語彙論的にも言語習得には多様な道筋があると直感的に思います。教師としてはそのような理論を的確に理解して指導することは重要です。

しかし、Fさんも言っていたように、時にSLAの研究は実際の教育現場と遊離していると批判されます。言語教師の研究はそこが大切です。おそらく研究者の人は自分のやっていることが間違いなくSLAは実践に役立つと思っています。考え方の土台が違っているのです。人はみんな違います。自分と同じように考える人もいますが、そうは考えない人もたくさんいます。

そのような学習者の適性や個性と関連させたSLAの研究に焦点を当てて話してくれました。その話自体には特段コメントしません。しっかりと勉強して自分に興味のあるSLAを追求することが大切です。教師となる人にはやはりSLAの知識は必須です。また、教師としてやっていくにもSLAの研究は面白いし役立つでしょう。私が研究している言語教師認知という研究は、SLAを補完するものだと確信しています。

私は、Fさんがさいごに述べていた結論ー新しいこと好きのメリハリを持った「のほほん」とした性格の持ち主が英語教師として向いているーに興味があります。また、それに付随するSLAの観点から教師が持つべき資質のことをまとめていました。ここに至る論拠がよくわかりません。Fさんがもともと持っている英語教師のイメージと現在勉強しているSLAの知識がもとになっているとは思いますが、どうしてなのでしょうか?それを根拠を持って論じることが、おそらくSLAの研究につながるでしょう。

授業の時にも言いましたが、私の結論は、

どのような性格の人も英語教師には向いている。が、自分の個性や知識や特性を理解している必要があり、それにもとづいて指導できることが大切です。

根拠は、あちらこちらで発表した論考に書いてあります。

とても興味深いテーマです。Fさんが、このテーマに対して独自のデータを示すことで論じてもらうことを期待します。簡単なリサーチをお願いします。文献だけでは面白くない。

以上です。思いついたままに見直しもしないで書いてます。誤字脱字、誤解はご容赦ください。

0 件のコメント:

コメントを投稿