2015年7月8日水曜日

第4回発表会

それぞれの人が、それぞれの立場や観点で、それぞれのテーマで英語教師について話すのはたいへんおもしろいと思っています。前回終了後、北海道に行ったりしたので、感想が遅れてすみません。

9 Hさんの「新課程の英語科が教育実習先でどのように教えられていたか」

Hさんも母校に帰っての教育実習でした。教育実習というのもそれぞれの体験はだいぶ違うようです。Hさんのテーマは、新課程になって何が変わっているか?ということでした。しかし、母校は以前からかなり熱心に英語教育に取り組んでいる学校で、指導のしかたも安定しているようだ。多くの高校は、進学実績という目標をかかえている。教師はそれを達成しなければいけない状況です。しかし、その中でそれぞれの教師が工夫して英語のコミュニケーション能力の育成に努力している。それぞれの教師のアプローチは違うので、3週間ではなかなかどう実践しているかは見えにくいかもしれない。

それでも、Hさんは、多くの授業を見て、自分でも指導教官の先生の実践を踏襲して、教えることを考え、実践した。Hさんの言葉で印象に残っているのは、「実際に生徒を目の前にして見ないと、教えるということが考えられなかった」ということです。つまり、実際に目の前にしてどうしたらよいかを考え実践したということです。この言葉はよくわかります。教育というのはそういうものかと思います。あれこれと頭の中で考えても結局そのとおりにはいきません。また、計画しても思ったとおりに進むことはありません。模擬授業と実際の生徒を教えることは大きく違います。「教える」ことは技術だけではどうにもなりません。

新課程になり、「英語の授業は英語で教える」が注目されました。しかし、現状はおそらく何も変わっていないでしょう。明治以来日本はそのようなことの繰り返しです。国が学習指導要領を提示し、教科書会社がそれに沿った教科書を作り、現場はそれを形だけにこだわり、少し変えるのです。しかし、Hidden Curriculumと言われるように、受験や教員養成システムや伝統的な学校教育文化により、特に何も変わることなく、進むのです。それでも、社会経済活動は厳しくなるので、若い人はそれなりの知識や技能を身につけていきます。その息苦しさについていけない人も多くなってきています。教育はそのような多様な問題を抱えているのが現状でしょう。

Hさんの視点は面白いと思いました。Hさん個人で再度教育実習で見たそれぞれの教師や授業を見て、改めて母校や新課程を考えてみてはどうでしょうか?

10 AさんのALTについて

Aさんは、ALTに興味を持ったようです。本来、ALTは、JETプログラムで来日した英語圏の人の英語指導助手を表す言葉でしたが、現在は、小中高で英語教師を支援する人を総称して言うようになりました。すっかり定着して、多くの学校で英語教師とともに英語を教えています。ALTに関しては次のようなウェブがあります。

JETプログラム

The Association for Japan Exchange and Teaching (AJET) 

JETプログラム参加者の会「AJET

その他にも多くのJETプログラムに参加した人の集まりがあちらこちらにあります。良きにつけ悪しきにつけ、日本の英語教育に大きな影響を与えています。

JETプログラムは次のように説明されています。つまり目的は国際交流なのです。
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JETプログラムは、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略称で、地方自治体が総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下に実施しています。

このプログラムは、外国語教育の充実と地域レベルの国際交流の進展を図ることを通し、日本と諸外国との相互理解の増進と日本の地域の国際化の推進を目的として、昭和62年度に開始されました。平成26年度に28年目を迎え、招致国は4ヵ国から42ヵ国に、参加者も848人から4,476人へと、事業は大きく発展してきています。 また、JETプログラム開始以来、63ヶ国から6万人以上がJETプログラムに参加している。
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Aさんは、母校をALTについて調べてみました。ALTがたくさん働いている学校です。4人のALTを自分の体験などを通して分析しました。Aさんも言うとおり、日本の英語教師とALTの関係性はとてもおもしろいと思います。当然、ALTもそれぞれの教師認知を持っています。教育背景も違うし、文化も違います。日本の英語教師もそれぞれの教師認知を持って、実践しています。これは当然ぶつかるでしょう。うまくいく場合もあればいかない場合もあります。多少のストレスは感じるでしょうが、制度的しかたがありません。つまり、ALTは、公立の場合、一人で教えることはできません。ティームティーチングという形態が発生したわけです。

Aさんが、ALTをテーマとして選んだのはおもしろいことです。ALTは英語教師の資格をきちんと持っている人とそうではない人が混在しています。また、どこの国から来たかでかなり違います。私たちはつい「外人」として見る傾向がありますが、まったく違います。その点、4人の人の人間性やその他詳しく背景を知り、どういう考え方をもって教えているかを調査できたらたいへんおもしろい調査になるし、自分にとってもプラスになるでしょう。期待します。

さて、あと1回の発表で、この授業も終わりです。みなさん、それぞれのテーマを深く考えていただきたいと思います。けっこう一つ一つのテーマはたいへん重要な課題です。

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