2017年7月3日月曜日

2017年度2

2 スペインと日本の英語教員に対するイメージと現状

Mさんの発表でした。Mさんはスペインに1年ほど滞在して勉強した経験があり、スペイン語も堪能で友達もたくさんいるそうです。この発表では、そのネットワークからスペインと日本の英語教育や英語教員に関して調査してくれました。

スペインは、2000年に入ってから急速に英語教育を推進しました。その発展はさすがラテン系という印象があります。とにかく何でも役に立ちそうなことはドシドシと取り入れてきました。スペイン語は今でも世界的に汎用性の高い言語で、文化的にも自負できる要素があり、英語などを使う必要もないと考える人も多いでしょう。しかし、学校教育で英語をどんどん取り入れて教えるようになりました。

なぜそれができたのかを考えると、やはり国自体が多言語状況にあったこととと、ヨーロッパの一部であったことが大きいと言えます。さらには、イタリアやフランスなど、言語的に違い言語があり、互いに刺激しあったことも影響しているのでしょう。否が応でも英語を話す人たちがたくさん入って近くに住んで仕事をしている状況が自然になっているようです。

そんなスペインと日本の英語教育に関する英語教師の意識をアンケートで聞きました。結果は実に面白いです。ずいぶんと違う国民性だということがよくわかります。10段階で答えてもらいましたが、スペインの人は、極端に回答し、中間があまりないというのはなるほどと思いました。しかし、実際に細かく聞くと結構微妙かもしれないと思います。多分文化的な差ですね。

特に英語教員の仕事が圧倒的に違うのがアンケートにもよく現れています。英語の教員はやはり英語を教えることに特化しているスペインに対して、日本はかなり違います。これは多くの人は知っているのですが、誰も何も言わないのです。この点が結構問題だと思っています。このような調査が大々的に行われ、日本の教員の仕事がとても特殊だということを明確にして議論する必要があります。


PISAの調査でも日本の教員の仕事量が指摘されましたが、仕事の細かい内容までは指摘されていません。日本では、英語力の養成が小学校から求められるようになっています。これには長い議論があり、不毛な気がします。Mさんが指摘したように「本当に英語必要ですか?」という疑問は実態を見るとその通りです。多くの人は必要としません。というより、必要としないような状況が続いていると言って良いでしょう。

まず、必要な場がどのようにあるのかを社会全体が考えてから教育の内容を決めるべきですが、初めに方針があり、それに合わせてお題目が先に決まり、その目標設定に教員がついていくという仕組みが問題です。

私はMさんのような調査がたくさん必要だと思います。また、日本の英語の先生が実際にスペインに行き、スペインの英語の先生と話をする場があると良いと思っています。英語の先生は英語圏ばかりに行き、他の外国のことや文化に関心がないのは問題だと思っています。Mさんのような人が先生になると少しは英語教育も変わるのではないかと思っています。

レポート期待です。乱筆乱文失礼。ありがとう。

3 教育実習を終えて

Iさんの教育実習の体験のレポートです。Iさんは母校の高校に教育実習に行きました。授業は,英語ではなく世界史を教えました。母校での教育実習は文部科学省からは推奨されていませんが、私はとても良いことがたくさんあると思います。もちろん、多様な学校現場を知ることは意味がありますが、自分が高校生として学んだ場所の教育文化や教師文化を改めて見る機会はとても貴重です。社会で教育実習をしたこともある面で重要です。つまり、日本の教員養成のシステムでは教科を教えることよりも、学校での教育全体の体験をすることが重要視されているので、Iさんは英語の免許も取れる訳です。変ですね。

教育実習の目的は、学校での実践的な教育体験をすることで、学習指導が主体ということでは必ずしもないのです。非常に曖昧です。指導教諭は特に資格が必要ではありません。また、特に手当も受け取りません。また、実習生の立場はかなり微妙です。事故があれば大学が責任を取ることが前提ですが、多々問題もあり得ます。みなさんの良心的な合意で成り立っています。

また、3週間という期間も微妙です。文部科学省は、その短さを埋めるために、学校体験、学校ボランティア、学校インターンシップを導入しています。しかし、実態はどうでしょうか?採用試験があり、一生懸命やったとしても教員になれない人も多々います。慣れたとしてもそれほど熱心に教科を教えたいのかは定かではありません。多様です。

そのような状況で教育実習に行ったIさんは、母校の伝統の話、母校の現状、英語教育などを話してくれました。英語教育はどの学校でもかなり力を入れるようになってきています。Iさんの母校もそうだと思います。英語の先生はおそらくプレッシャーもあって大変だと思いますが、Iさんの話だと伝統の中でゆったりと教育をしているようです。私は、教育にはそのようなある種のゆとりがなければうまくいかないと考えていますが、現実は難しいのかもしれません。

さて、Iさんはイスラームのことを世界史の授業で担当したそうです。この話題は結構大切なことのようですが、日本人であり、かつ、イスラームに特に関わっていない人には誤解も多い話題です。日本の学校教育では宗教がタブーとされています現場からすると仕方がないかもしれません。しかし、ある面で宗教に寛容なことが日本文化の良さなのかもしれません。私にはわかりませんが、宗教とともに生きている人たちが世界中に多くいることは確かです。

さて、Iさんの教育実習の話はとても面白かったのですが、本授業のテーマである英語教師の研究については今後のレポートで反映させてもらえればと思います。あるいは、Iさんが英語と社会の免許をとるという中で、英語の教師と社会の教師の違いみたいなことについて考えても良いかもしれません。何か違いがありますか?

乱筆乱文ですみませんが、様々な教育実習の体験を聞くのはとても楽しいです。ありがとう。





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