言語教師認知論という研究に関心を持っていただいてうれしいですね。たくさんの人が来てくれて、きょうは大満足です。それとともに授業もすこし工夫しなくてはいけません。
大事なことは、言語教師認知の研究には確かに枠組みがありますが、この授業はそれに集中するのではなく、どちらかと言えば「学校現場」に焦点を当てて、「英語を教える・学ぶ」を考えましょう。
Language Teacher Cognitionとは
「言語教師が、言語を教える/学ぶにあたって、何を考え、どのような知識があり、どのようなビリーフ(信念)をもっているのか、ということを探求することにより、言語教育を見直し、言語教師自身の成長に寄与しようと意図する」
ということです。
詳しく知りたい人は、『言語教師認知の研究』(笹島・ボーグ, 2009)を購入して読んでください。また、英語版は簡単な説明は次の資料を読んでください。
Introducing Language Teacher Cognition
また、私が代表をしている研究会のサイトです。
JACET言語教師認知研究会
いっしょに暫し学びましょう。
さて、「外国語(英語)を学ぶ/教えるとは?」ということですが、。。。
英語を学ぶ意義は、学習者が英語を学習するにあたり、もっとも大切なことです。しかし、それをどう受け止めているか、あるいは、どう実践しているかは、人によって相当に違います。互いに異なることをまず理解することが大切です。「英語はコミュニケーションのためだ」という意義があったとすると、どのようなコミュニケーションを想定しているのか?
中高の英語教育では、「教科」としての「外国語(英語)」を学ぶという思い込み(assumptions)は、どの程度の共通理解があるのか?「言語(ことば)」として英語を学ぼうということはどういうことか?
これも人によってかなり違います。
不正確に英語を使ってもよいから、まずコミュニケーションだ!
まず基本が大切。発音を正確にしなければコミュニケーションはできない。
文法が分からなければ英語は読めない、書けない。
語彙学習が一番。
私は音読で英語が分かるようになった。だから音読を薦めたい。
学習指導要領にあるとおり、「コミュニケーション能力の基礎を養う」ので、私は、文法、語彙、訳をきちんと教える。それが子供たちの将来に必ず役に立つ。
などなど。
授業では、その他にも多くの話題が出ました。まとめると、
英語を学ぶ目標が受験になっている。もっと大きな目標のもとに英語や外国語は学ぶほうがよい。日本の英語教育の目標は限定的だ。日本の学校教育は画一的で、受験という方向性ができてしまうと、それに従って進んでしまい、結局、「役に立たない英語学習」となってしまう可能性が高い。世界は多言語多文化社会になっているので、もっとそういうことを考えたほうがよい。ヨーロッパは個人主義だ。もっと個人で考えて、行動するほうがよいのではないか?外国語は、「その場そのとき (hear and now)」が最も効果があると思う。もっと英語(あるいは外国語)が話されている状況に入って英語あるいは外国語)を使う機会に接することが大切。
といったものでした。非常に貴重な意見でもどれも正しいし、的を射ていると思います。しかし、大切な点は、これも、人によって受け止め方が異なるということです。
教師認知は、そのような複雑な教師の考え方を理解しようとすることを目的としています。そのことを理解して、英語の教え方や学び方を考えるということです。
コミュニケーションを重視した言語教育(communicative language teaching)(CLT)は主流です。しかし、実はCLTは形がある訳ではありません。Michael Longという人が1988年い提案したFocus on Form という考えは、コミュニケーション活動の中で文法を意識するというものです。ただコミュニケーションをすればよいというのではなく、そこで文法を意識して学ぶということでしょう。
鈴木利彦先生の話題が出ました。鈴木先生は、語用論(pragmatics)を研究している人です。語用論は実際の言語の使用を研究していますから、ある意味で、Focus on Formと似通った活動になります。
まとまりませんが、みなさんとの議論からそんなことを考えました。
次は、「2.自分はことばをどう学んだかについて考える」がテーマです。楽しみにしています。
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