2011年7月5日火曜日

フランス語教育

日本でのフランス語教育の歴史は古い。英語ばかりが注目されるが、ドイツ語とともに、日本では江戸時代から重要な言語として活用されてきた。また、世界でも、公用語として地位を保ってきたことも事実である。フランス語を話す人たちのフランス語に対する意識はかなり強く、言語としてのフランス語もしっかりとしていて、フランス語教育もしっかりとした体系がある。さらに、アカデミックな面でのフランス語には多くの人を引きつける魅力がある。

現在の日本のフランス語学習者がどのように考えてフランス語を学習し、その教育機関である大学がどのような考えをもってフランス語を指導しているのか。教師の指導理念は学生にどう伝わっているのか。J大学のフランス語教科書はCEFRの考えを反映している、いわゆる、 CLTにもとづく内容や活動が含まれている。教師の教え方も基本的に実用を重視した指導のようだ。英語教育分野の私の経験から判断すると比較的よい指導を行なっているように思える。

学生から見るフランス語の授業はどのように見えているのかは、教師としても興味のある視点である。学生は一人ひとり様々であるということを前提にすれば、おそらく、いわゆる、楽しい授業、為になる授業、分かりやすい授業、勉強が楽な授業などが想像される。それとともに、教師のキャラクターが大きいかもしれない。しかし、ある授業はある学生にとってはよいが、別の学生にはよくないかもしれない。その学生がそのときに思い描いていた知識や技能を提供してくれる授業は、動機づけがされている学生にとっては大切である。動機づけがされていない学生には、動機づけをさせる内容の授業が有効であろう。

フランス語をフランス語で教える授業は、「よい指導」にはいるかもしれないが、そう簡単に「よい」とも言えない。文法や訳読がかならずしも「わるい指導」とも言えないのと同様である。何が授業の良し悪しを決めるのかは意外とむずかしいのだ。

フランス語から見た英語教育はどうだろうか?フランス語を教えている教師の多くは英語もできる人が多い。英語教育を受けた経験もあるだろう。そうすると、英語教育の反面教師的な要素が授業の中に取り入れられる可能性がある。その点からすると、フランス語教育は英語教育よりもある面で効果的な指導をしているのかもしれない。

J大学のフランス語はCLTを基盤とした指導をしているという。CLTとは何か?と問うてみるとけっこう答えはむずかしい。コミュニケーションのために(重視して)教える指導法ということになるが、実態は様々である。おそらく、文法もしっかり教える必要があるし、4技能それぞれの技能と知識は教える必要がある。コミュニケーションだからといって、ゲームや遊びではない。

私は、フランス語の教師が何を考えているのかに興味がある。英語教師と同じだろうか?大学の英語教師とフランス語教師はおそらく違った考えをもって教えているのではないかと思う。言語感覚も違うし、文化も違う。英語に対する先入観のないフランス語を学ぶ学生に対する教師の思いは違うだろう。それでも、共通することは多いはずだ。たとえば、教師と学生との関係性も問題をフランス語の教師はどう考えるだろうか。意外にさばさばとしているかもしれない。そのあたりが知りたい。

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