2016年11月28日月曜日

教師の言葉かけについて

1.  Tさんの発表

Tさんは、英語教師の言葉かけについて話してくれました。とてもおもしかったです。ありがとうございます。授業や指導において、教師の役割としては重要だと誰もが直感的に思うことです。が、結構反省することが多いことでもあります。

さて、これは英語ではどう言うのでしょうか?日本語では「言葉かけ」は、教師が生徒にかける言葉で、私の印象としては、情緒的な要素が強い感じがします。英語ではこれにぴったりする言葉がないかもしれません。少し日本的な言い方かもしれません。

英語では、おそらく、

Teacher talk
Teacher feedback
Teacher language

 などと言うのかもしれません。

Tさんが示してくれたいくつかの教師と生徒のやりとりを見ていて、日本の英語の授業のやりとりに少し特徴があるような気がしました。しかし、Tさんが取り上げたのが悪い例なのでそう感じたのでしょう。多くの場合は適切な言葉かけが行われているはずです。

特徴の一つはクラスサイズです。日本のクラスの生徒数は、40人が標準で、40人相手にやりとりするということは、10人、20人を相手にするのとは違います。大学は20人ちょっとが標準となっていることが多く、そこで英語を使うことはそれほど難しいことではありません。が、40人となるとコミュニケーションのパターンが変わらざるを得ません。

いわゆるそれに合わせたTeacher talkが必要になります。その場合、Corrective feedbackはやはり難しくなります。欧米の文献で紹介されているもの、あるいは、ネイティブスピーカーが行うESLのような授業とは違うと考えたほうがいでしょう。一人の人に話すことを全体に話すようにしなければいけません。このような教師内の談話分析は重要です。

Clean language (McCracken, 2016)という本があります。その中で、Clean languageは、

Clean Language seeks to minimise miscommunication and misconceptions and create deep, personalised learning experiences for each child.

というように定義されます。教師は授業での言葉使いに注意しなければいけませんが、これは母語の話で、外国語の話ではありません。

また、これは、Teacher languageとも言われるようです。

Teacher language—what we say to students and how we say it—is one of the most powerful teaching tools. Through careful use of language, we can support students as they develop self-control, build their sense of community, and gain academic skills and knowledge. The Responsive Classroom approach offers specific language strategies for various areas of teaching. These strategies range from asking open-ended questions that stretch children’s thinking to using respectful reminding and redirecting language when children’s behavior goes off track.

https://www.responsiveclassroom.org/the-power-of-teacher-language/

何れにしても教師は発話には注意しなければいけません。

しかし、Tさんが提示した問題は、単に言葉かけが重要だということではなくて、日本の英語の授業での教師と生徒とのやりとり、あるいは、何を教えているか?ということが、ひょっとしたら日本の授業の特徴があるのかなと思ったことです。

つまり、日本の英語の授業は、学習指導要領が述べる「コミュニケーション能力の育成」ではなくて、多くの場合、結局受験やテストのための、あるいは、学習のための英語 という感じが強くしました。

悪い事例の教師の言葉かけが、なぜそうなってしまったのか?例えば、生徒が言ったことに、過剰に反応したり、あまり聞かないで適当に反応したりしてしまうのはなぜなのか?教師はその時に何を考えてそう反応してしまうのか?日本語だったらそうは反応していないのか?日本語でもそう反応しているのか?などなど。

Classroom English

は教師となる人は一応練習します。教育実習などではそれを使うようにするでしょう。また、英語の教師はそれを使っていると、なんとなく英語で授業をしていると考えるでしょう。それはなぜでしょうか?

Tさんの言葉かけの話の中には多くの話題が入っていました。これから考えるべき多くのヒントが入っていました。逆に言うと、かなり多くの要素が入っているので、多少整理すると良いと思いました。

つらつらと思いつくままに書きました。次回の発表も期待したいところです。

ありがとうございました。