昨日は、本日発表のT さんの案内で都立国際高校を訪問し、IBのクラスや、その他の英語の授業を参観しました。たいへんよい機会でした。教師を考える場合に、その状況を理解することは欠かせません。その意味で、この授業は、教師が教えている現場の理解も研究の重要な要素です。本日は、二人の発表をもとに考えます。
4 Mさんの「教育実習を終えて」
Mさんは、母校で教育実習を終えました。その体験をもとに本日の発表を構成しました。教育実習は、本来の教員養成システムからすれば、最も重要ですが、教師としてやっていくには、非常に短い期間です。そのために、現場でボランティアや、その後の事前研修などが行われ、教師教育を継続的に行うようになってきています。3週間という短い期間であるために、実習生にとっても生徒にとってもかなり濃密な時間となることも多く、ある意味で貴重な体験です。
Mさんは、特に指導教官の先生の話しをしてくれました。優秀でよい先生はあちらこちらにいます。Mさんにとってはよい出会いだったと思います。母校は、Super Global High Schoolの指定を受けて、多様な取り組みをしています。たぶん仕事は忙しくなってきているのではないでしょうか。教師にとってはよい面もあれば、わるい面をあるでしょうが、生徒にとってはよいことだと思います。その中でMさんはかなり忙しい実習活動を行ったようです。結局、その体験はMさんが教師としてやっていくことに大きな意味があったようです。やはりその意思決定の大きな要因は、実際に教壇に立って「教えた」という体験です。それとともに、その体験を支援した教師と、いっしょに実習した仲間と、そして生徒です。その中でも指導教官の役割はかなり大きいと考えられます。
指導教官の先生は、「学び」ということをよく考えている先生のようです。単に英語を教えるという技能的なことだけではなく、教育の本質的なところを大切にしていると思いました。今の時代では、このように哲学を持って「教える」ことに携わることがたいへん難しくなっています。たぶんTさんの影で、指導教官の先生はいろいろと苦労した点もあったと思います。Tさんには見えない多くの部分があるとは思いますが、Tさんの視点から見た指導教官観はたいへん興味深いものでした。Tさんは授業をしなければいけないので、指導教官の先生の教え方をある程度踏襲しながら、「為すことによって学ぶ(learning by doing)」という実践的な「教える」という体験をしました。分析はそれをもとにしたものです。Tさんが工夫した授業は、Tさん自身が持っている指導観、あるいは、指導ビリーフです。それをもとに、指導教官の先生の教え方や指導観を参考にしました。
この英語教師研究の授業では、このような自分自身の指導観(あるいは言語教師認知)と指導教官の指導観を、相互作用的に見てみることが大切だと思っています。つまり、ある授業の意思決定をする際に、指導教官の何がどう自分の指導観に基づく授業案あるは授業に影響したのか、あるいは、影響しなかったのか、などです。教育実習の自分の「こころ」の動きと、指導教官の「こころ」の動きがどう関係するのか、さらには、それが自分の授業や今後の教師としてやっていくことにどう関係するのか、など、そのようなことが考えられると面白いと思いました。
5 Tさんの「言語教師の認知プロセス」
Tさんの発表は、Tさんにとってはとても大きな存在である一人の英語教師の「教えること」や教育観あるいは教師観などの認知プロセスあるいは教師認知(teacher cognition)の分析です。私の研究ではこれを「教師のこころ」と言っています。このような分析はとても貴重だと思っています。なぜかと言えば、様々な意味で、その影響を与えた先生がTさんのロールモデルとなるからです。
その意味から、このような調査と分析はTさんにとって重要だと思いました。というのは、教師は多様です。また、教え方、学び方、教育、生き方などなど、かなり異なっていることが多少わかっています。一つの考え方にこだわると、それはずっと変わることがないのが普通です。それは、よい方向に向くと生徒にとってもよい影響を与えます。それがTさんの例だと思います。逆に、わるい方向に向くと、悲劇となることもあります。日本の教育の特徴はある面で閉鎖的です。時に息苦しい面もあります。一つのレールから外れると、レールがもうないというような状況もありえます。その意味で教師の認知や「こころ」を探求することは重要だと、私は考えています。
発表の際に話したとおりですが、インタビューや他の生徒の見方などから分析したTさんの恩師である教師の認知プロセスは相当に複雑です。この発表はその意味からTさんの認知プロセスでもあります。この調査分析をとおして、Tさん自身を見るチャンスでもあります。たとえば、なぜ自分は恩師の先生の影響を受けたのか、どの点が影響を受け、どの点は影響を受けていないのか、自分が見ている恩師は他の生徒が見ている恩師と同じかどうか、などなど。
さらに、別の面で面白いと思ったのは、各生徒のそれぞれの見方を少し整理して、恩師の先生にさらに尋ねてみたらどうかと思いました。Tさんと先生はかなり信頼関係があり、率直にいろいろと話せるようなので、もっと本音が聞けそうだと考えるからです。さらには、Tさんは教師を目指し、先生の指導法に共感を持っているからです。これは、Tさん自身の教師認知の形成にはよい影響を与えると思います。もちろん、その方が調査の質を高めるし、自分だけの思い込みではない、reflexivityを考慮するからです。
Reflexivityは、日本語に訳すのがむずかしいので、わかりやすく説明すると、「自分を他者や対象に反射させて、ふりかえってきちんと論理的に考えること」です。つまり、Tさんの調査で言えば、ある教師が、「教える」にあたり、何をどう考え、その背景にどのような信念があり、どのような学び方をして、何を知り、何をどう学んだのか、そして、何をどう考え教えるのか、さらに、それをどうふりかえって、これからどう教えようとするのか、などの認知プロセスを、その教師とともに、Tさんの鏡をとおして見て、分析するというその過程で、reflexivityをきちんと考慮するということです。
ちょっとむずかしいでしょうか?でも、やってみてください。おもしろいと思います。
発表を聞いていると、いつも勉強になります。みなさんの率直な思考を期待しています。
2015年6月21日日曜日
2015年6月15日月曜日
第2回発表
第2回は、二人の方が発表してくれました。両方とも、母校に関係する教師の話でした。教師というのはやはり大きな影響力がありますね。ふだんは意識していなくても、このように調査してみると教師は、良かれ悪しかれ、興味深いと思います。
2 Iさんの「英語教師と国語教師」
英語教師も国語教師も言語教師(language teacher)という括りで考えられるはずですが、母語と外国語という大きな隔たりがあります。中学校の国語の学習指導要領は次のような目標を設定しています。
「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。」
しかし、気をつけなければいけないのは、この背景にある国語教育文化ということでしょう。英語ももちろんそうです。学習指導要領が必ずしも現場に浸透しているわけではなく、解釈が変わります。それでも、私は、アンダーラインした「言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度」は、日本の国語教育の特徴を表しているような気がします。感覚、尊重するという情緒的な要素が入っています。
Iさんが調査対象としたH先生とK先生はどちらも素敵な先生だと思います。よい先生に教えてもらったと考えてよいでしょうね。よい先生はたくさんいます。さらに、一人ひとりのアプローチはみなさん違います。つまり、教え方や指導のしかたに定型はないのです。
二人の特徴を比べてみて、単純に結論を出すのではなく、その事実をていねいに探ることが大切だと思いました。結論はないのですが、一つ一つの事象は実に興味深いですね。そこに、Iさん自身の考え方が反映されるともっと面白い分析になります。対象とした先生には、Iさんが何か惹かれている部分もあるし、疑問に思うこともあるはずです。
その点をうまくまとめて質の高いレポートとしていただきたいと思います。
3Aさんの「通信制高校の英語教育」
Aさんは、教育ということを真摯に考えている人です。それは、ある意味、そのことで苦労したからでしょうね。教師をめざすのかどうかは別として、教育という仕事にかかわるといいと思います。その意味では、たぶん、H先生をもっと探求してみるとよいと思いました。それとともに、通信制、単位制などの高校という学校文化と教師とのかかわりを調べてみるのは意味があるでしょう。
学校は多様です。教育の中で訳ありの人は世界中どこにもいて、苦労している人も多い。むずかしい問題がたくさんあります。個人がすべてにかかわることは不可能ですが、教師は、自分とかかわりのある一つひとつの事例を大切に考えて対処しなければいけません。これは世界中共通ですが、どこまで、どのように、かかわり、どの程度まで責任を持つ必要があるのかは、文化により違います。日本はその点でかなり複雑な役割を教師が背負う危険性が多々あるように考えています。
この授業は英語教師を考えますから、そこに焦点を絞ると、生徒が英語に何を求めるのかにより、教師はそれに対応するのは当然です。通信制高校や定時制高校などは、そのニーズがかなり異なるので、一つひとつの事例によりすべて違うでしょう。ある意味で経験や人間性が要求され、学習全体の指導を要求されます。その意味で、Aさんに影響を与えたH先生は、もっとその背景や信条を探る必要があるかもしれません。
それとともに、Aさん自身の高校時代などを再度ふりかえってみるよい機会がではないかと思います。H先生を通して、Aさん自身を知るよい機会となるのではないでしょうか?レポートは、通信制の母校と、そこで教える先生と、そこで学ぶ生徒の現状などをまとめて、どのような問題があり、自分の経験と重ねて、H先生という人を深く探求してみるとよいレポートになると思います。結論はやはり必要ないでしょう。探求のプロセスが大切です。
二人ともありがとうございました。多少誤解もあるかもしれません。誤字脱字や文章の不備は容赦ください。メモです。
また、次回楽しみです。
2 Iさんの「英語教師と国語教師」
英語教師も国語教師も言語教師(language teacher)という括りで考えられるはずですが、母語と外国語という大きな隔たりがあります。中学校の国語の学習指導要領は次のような目標を設定しています。
「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。」
しかし、気をつけなければいけないのは、この背景にある国語教育文化ということでしょう。英語ももちろんそうです。学習指導要領が必ずしも現場に浸透しているわけではなく、解釈が変わります。それでも、私は、アンダーラインした「言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度」は、日本の国語教育の特徴を表しているような気がします。感覚、尊重するという情緒的な要素が入っています。
Iさんが調査対象としたH先生とK先生はどちらも素敵な先生だと思います。よい先生に教えてもらったと考えてよいでしょうね。よい先生はたくさんいます。さらに、一人ひとりのアプローチはみなさん違います。つまり、教え方や指導のしかたに定型はないのです。
二人の特徴を比べてみて、単純に結論を出すのではなく、その事実をていねいに探ることが大切だと思いました。結論はないのですが、一つ一つの事象は実に興味深いですね。そこに、Iさん自身の考え方が反映されるともっと面白い分析になります。対象とした先生には、Iさんが何か惹かれている部分もあるし、疑問に思うこともあるはずです。
その点をうまくまとめて質の高いレポートとしていただきたいと思います。
3Aさんの「通信制高校の英語教育」
Aさんは、教育ということを真摯に考えている人です。それは、ある意味、そのことで苦労したからでしょうね。教師をめざすのかどうかは別として、教育という仕事にかかわるといいと思います。その意味では、たぶん、H先生をもっと探求してみるとよいと思いました。それとともに、通信制、単位制などの高校という学校文化と教師とのかかわりを調べてみるのは意味があるでしょう。
学校は多様です。教育の中で訳ありの人は世界中どこにもいて、苦労している人も多い。むずかしい問題がたくさんあります。個人がすべてにかかわることは不可能ですが、教師は、自分とかかわりのある一つひとつの事例を大切に考えて対処しなければいけません。これは世界中共通ですが、どこまで、どのように、かかわり、どの程度まで責任を持つ必要があるのかは、文化により違います。日本はその点でかなり複雑な役割を教師が背負う危険性が多々あるように考えています。
この授業は英語教師を考えますから、そこに焦点を絞ると、生徒が英語に何を求めるのかにより、教師はそれに対応するのは当然です。通信制高校や定時制高校などは、そのニーズがかなり異なるので、一つひとつの事例によりすべて違うでしょう。ある意味で経験や人間性が要求され、学習全体の指導を要求されます。その意味で、Aさんに影響を与えたH先生は、もっとその背景や信条を探る必要があるかもしれません。
それとともに、Aさん自身の高校時代などを再度ふりかえってみるよい機会がではないかと思います。H先生を通して、Aさん自身を知るよい機会となるのではないでしょうか?レポートは、通信制の母校と、そこで教える先生と、そこで学ぶ生徒の現状などをまとめて、どのような問題があり、自分の経験と重ねて、H先生という人を深く探求してみるとよいレポートになると思います。結論はやはり必要ないでしょう。探求のプロセスが大切です。
二人ともありがとうございました。多少誤解もあるかもしれません。誤字脱字や文章の不備は容赦ください。メモです。
また、次回楽しみです。
2015年6月8日月曜日
第1回発表
第1回の発表です。
毎年、メンバーが変わると展開も異なります。英語教師をどのような立場でどう見るか、あるいは、そこに集まった人が英語教師という対象をどう考えているか、という相互作用です。
今年度は今年度でおもしろい展開になっています。基本的に私は「何かを教えよう」とは考えていません。それぞれがどう「英語教師」という対象をどう考え、興味を持ち、探求するかを、いっしょに考えていくというスタンスです。
本日は、その第1回発表です。
1. Tさんの「理想の授業」
自分の母校の英語教師の教え方を振り返って考え、その教師にインタビューしました。ポイントは、教師の海外体験ということがどのように教え方に反映するかということです。調査の視点はとてもおもしろいと思いました。日本の英語の教師の中で、それほど多くの人が海外での生活や学習の経験しているわけではありません。海外での体験は教師の教え方に大きく左右する可能性はあります。しかし、教師の教え方がそれだけで変わるかどうかはわかりません。これは直接「海外での体験が現在の指導にどう影響していますか?」という質問が必要で、それに対して、さらに追求してみる必要があるでしょう。
私は、それよりも、Tさんの話を聞いていて、Tさん自身の「理想の英語授業」というものを知りたいと思いました。3人の先生の教え方、3人の先生とTさんとの相性、Tさん自身のカナダでの体験、そして、現在の英語とのかかわり、などなどです。
理想の授業というのは、だれもがばくぜんとイメージします。が、現実はそれほど簡単ではありません。コミュニケーション活動ばかりでもいけないし、英語で授業をすればよいというものでもありません。大学受験というニーズがあれば、それに応えるのが教師の役割でしょう。英語を使って仕事がしたいということがあれば、それを支援するのも大切です。英語でもどの言語も、使えるようになるためには、個々の努力が必要で、その努力を効果的に引き出して、支援することが、教師には求められます。
しかし、教師も自分の学習体験があり、英語学習のしかたに関するビリーフを持っています。また、それぞれの教師はそれぞれの性格があります。様々な要因が、授業での意思決定に作用します。また、そのときの状況により、予想もしない展開となることもあるでしょう。
海外の体験が教師の教え方を左右するとしたら、それは何か?また、その体験は、Tさん自身の体験と重ねてどうだろうか?文法や訳読などを中心とした教え方は、本当に、海外体験がないことと関係するだろうか?など、考えながら、Tさんの考える理想の教え方を整理してはどうでしょうか?Tさんの「こころ」が反映するとおもしろい探求となるように思います。その際に、この問題に関する文献を参照してみてください。
話を聞いていて、たぶん、Tさん自身の英語授業に対する思いを、この調査から、振り返ってみてはどうかと思いました。
興味深い話をありがとう。
毎年、メンバーが変わると展開も異なります。英語教師をどのような立場でどう見るか、あるいは、そこに集まった人が英語教師という対象をどう考えているか、という相互作用です。
今年度は今年度でおもしろい展開になっています。基本的に私は「何かを教えよう」とは考えていません。それぞれがどう「英語教師」という対象をどう考え、興味を持ち、探求するかを、いっしょに考えていくというスタンスです。
本日は、その第1回発表です。
1. Tさんの「理想の授業」
自分の母校の英語教師の教え方を振り返って考え、その教師にインタビューしました。ポイントは、教師の海外体験ということがどのように教え方に反映するかということです。調査の視点はとてもおもしろいと思いました。日本の英語の教師の中で、それほど多くの人が海外での生活や学習の経験しているわけではありません。海外での体験は教師の教え方に大きく左右する可能性はあります。しかし、教師の教え方がそれだけで変わるかどうかはわかりません。これは直接「海外での体験が現在の指導にどう影響していますか?」という質問が必要で、それに対して、さらに追求してみる必要があるでしょう。
私は、それよりも、Tさんの話を聞いていて、Tさん自身の「理想の英語授業」というものを知りたいと思いました。3人の先生の教え方、3人の先生とTさんとの相性、Tさん自身のカナダでの体験、そして、現在の英語とのかかわり、などなどです。
理想の授業というのは、だれもがばくぜんとイメージします。が、現実はそれほど簡単ではありません。コミュニケーション活動ばかりでもいけないし、英語で授業をすればよいというものでもありません。大学受験というニーズがあれば、それに応えるのが教師の役割でしょう。英語を使って仕事がしたいということがあれば、それを支援するのも大切です。英語でもどの言語も、使えるようになるためには、個々の努力が必要で、その努力を効果的に引き出して、支援することが、教師には求められます。
しかし、教師も自分の学習体験があり、英語学習のしかたに関するビリーフを持っています。また、それぞれの教師はそれぞれの性格があります。様々な要因が、授業での意思決定に作用します。また、そのときの状況により、予想もしない展開となることもあるでしょう。
海外の体験が教師の教え方を左右するとしたら、それは何か?また、その体験は、Tさん自身の体験と重ねてどうだろうか?文法や訳読などを中心とした教え方は、本当に、海外体験がないことと関係するだろうか?など、考えながら、Tさんの考える理想の教え方を整理してはどうでしょうか?Tさんの「こころ」が反映するとおもしろい探求となるように思います。その際に、この問題に関する文献を参照してみてください。
話を聞いていて、たぶん、Tさん自身の英語授業に対する思いを、この調査から、振り返ってみてはどうかと思いました。
興味深い話をありがとう。
2015年4月13日月曜日
2015年度の英語教師研究
Address: http://ltcjapan.blogspot.jp
この授業は、言語教師認知研究(Language Teacher Cognition)を探求します。今年も、基本的に、最初は、私が説明しますが、一人ひとりがテーマをもって探求してください。
例年たいへんおもしろい探求があります。それは原始的ですが、どれも解決しなければいけない大きな課題と結びついています。
今年度も期待しています。
研究会
Language Teacher Cognition
この授業は、言語教師認知研究(Language Teacher Cognition)を探求します。今年も、基本的に、最初は、私が説明しますが、一人ひとりがテーマをもって探求してください。
例年たいへんおもしろい探求があります。それは原始的ですが、どれも解決しなければいけない大きな課題と結びついています。
今年度も期待しています。
研究会
Language Teacher Cognition
2014年7月28日月曜日
まとめ
まとめ
読ませてもらいました。あえて形式についてはあまり言わないようにしました。そのため、感想文のようなものもありましたが、まとまってはいないが、おもしろいものもありました。たぶんみなさんは忙しいのかな?というのが率直な感想です。
レポートに関しては、やはり中身が問題です。調査をしたか?調査から何か分かったか?その根拠は?「なるほど!」と思わせるか?などです。今後みなさんが書くことになるだろうリサーチ・ペーパーの形式も大事ですが、やはり内容です。発想はよくても内容がなければ意味がないでしょう。
私はこの授業では、やはり「考える」「自己を探求する」ということを重視しようと思っていました。それも答えのないような問題を「考える」、あるいは、複雑な状況にいる「自己を探求する」しながら、教師としての考え方を身につける、多様な状況に「自分の頭で考える」あるいは「自分の問題を他者と共有しながら探求する」ということをしたいと思いました。目的は達成されませんが、私自身、みなさんと過ごした何ヶ月かはたいへん貴重で勉強になりました。ありがとう。
レポートの評価のポイントは、その点からさせてもらいます。成績とみなさん自身の評価は違います。教師となる人、教育に関心のある人はぜひいつでもいっしょに考えましょう。声をかけてください。
以下レポートの感想(順不同)
1英語教育におけるTPR
Total Physical Responseはとてもおもしろいアプローチです。授業ではもっと利用されるべきでしょうね。多くの文献もあり、実践もあります。もっと探求する必要があるでしょう。これを機会にもっと研究してください。英語授業に適宜利用することは効果的です。
2リフレクティブ・ラーニング
ちょっと量が少なく、単なる感想なので説得力はありませんが、「振り返り」は大切です。また、「間を取る」ことも大切です。それはどうしてですか?また、どうやってそれをするのですか?などを論じないと意味がないでしょう。発想はとても好きです。
3外国語授業における教師の役割
レポートしてはとてもよくまとまっていて、文献なども適切にあります。教師は有機的であるべきという結論もよいでしょう。しかし、多くの心ある教師はそうしようとしているような気がします。では、どうして変わらないのでしょうか?それが大切だと思います。
4外国人英語教師からみた日本の生徒
おもしろいと思います。興味がありますね。もっとデータを集めて、焦点をしぼれてきたら、とても貴重な研究になるような気がします。なんとなく根拠のないステレオタイプの考え方があるような気がするし、状況によって違うし、教師と生徒(学生)意識の違いがあるように思います。ぜひ探求してもらいたい。
5英語の早期教育
塾はたくさんあります。ここではある有名な塾に焦点を当てた。ちょっと調査が足りないのが残念です。無理にまとめてますが、もっともっと実態を調査しないとレポートの意味がないかもしれません。着眼点はとてもよかったので、もっと探求する気持ちを。
6外国人留学生・編入生が日本人在学生に与える影響
発想はとてもおもしろいし、自分の興味に適した話題だったと思います。多言語多文化が当たり前の国からすると日本はだいぶ違う環境ですが、これからは変わっていくべきだと思います。その点で、もう少し深く追求して、さらに教師の本音に踏み込むべきでしょう。
7教師と子どもの変容につながる授業観察の観点と教師に対するフィードバック
データがあってとても興味深いです。背景をもっときちんとまとめて、調査対象と方法を明確に整理して示し、結果と考察をきちんとすれば、かなり価値があるように思います。授業というよりも、学習支援指導活動に焦点を当てて、そこでの学びを見るようにするとよいと思いました。
8南米とヨーロッパの英語教育比較
リサーチペーパーの形式を理解し、きちんとまとめるとおもしろいと思いました。データは貴重で、もっと教師と生徒との関係に焦点をしぼり、やはり日本の英語授業の教師と生徒の関係を論じてほしかったですね。なんとなくデータを集めて無理矢理まとめた感じ。
9学習指導要領と現場の声
一所懸命調べた努力は認めたいと思うが、学習指導要領に関する背景はもっと調べないといけません。現場の声は貴重です。自分の考えや考察は、現場の声というデータを根拠にまとめないと説得力がありません。現場の声は貴重なので、それを大切にしてほしい。
10 学校外の英語教師研究
貴重なインタビューデータがありますが、全体的にうまくまとまっていないのが残念。塾などの教師の声はあまりまとまったデータがないので、貴重です。特に、さいごの「教えることに集中できる塾や予備校が過ごしやすい」は興味深く追求したいテーマです。
11英語を使って授業をする
自身の教育実習体験を通じて、英語で授業をすることの意味を考えた。あまり大きく考えずに、自分自身の課題を解決することを考えた点は評価に値します。説得力もある。この授業のテーマに最も合っていると思います。欲を言えば、背景をきちんと考えたい。
12 沖縄の米軍基地と英語演習
かなりおもしろいテーマです。何気なく訪れた場所でふとした疑問を発端として調査が始まり、そこからさらに出会いを通じて、テーマを追求するというのは、教師研究としては重要な探求方法です。まとめるのはむずかしいかもしれないので焦点をしぼって探求するといい形でまとまると思います。
13 これからの英語教師
レポートが感想文のようになったのが残念。アンケート結果は少ないけどけっこうおもしろい。学生が教師に対して持っているイメージは貴重なデータだと思う。その点をもっと分析すべきだった。他者を知って、かつ、自分を知る、ということから教師の研究は始まる。
14 教師は私生活でも模範的であるべきか
これも感想文のようになってしまったのが残念。ぜひ研究者の視点に立って、まとめて欲しかった。というのは、このテーマけっこう大切なテーマで、モデルという視点からすれば、結構文献はある。インタビュー結果は貴重だし、教師としては悩ましい問題で、とても興味深い。
15 観察の徒弟制と教員研修
うまくまとめようとした感じだ。テーマはとてもおもしろいし、文献もよく調べている。形式もきちんとして、この授業では一番求めていたレポートに近い。データは結構おもしろいと思う。分析のしかたとまとめ方が課題だ。養成課程の学生の認知をBALLIでまとめるだけでも貴重なデータだし、インタビューもテーマをしぼって分析することで、何か大切なものが見えるような気がする。ぜひ探求していほしい。
16 高校教師の意識(仮題)
母校の教師にインタビューして、教師の意識を調べてみた。調査の視点がぼんやりとしているので、まとまりに欠けるが、たぶん自分の母校を再度違った視点で見るという点では価値があると思う。しかし、本当に知りたいことは何だったのだろうか?
このブログは私のメモですが、何か疑問に思ったことがあれば連絡ください。どなたか「言語教師認知」の研究を深くやりたい人はぜひお願いします。
では、またどこかで。
読ませてもらいました。あえて形式についてはあまり言わないようにしました。そのため、感想文のようなものもありましたが、まとまってはいないが、おもしろいものもありました。たぶんみなさんは忙しいのかな?というのが率直な感想です。
レポートに関しては、やはり中身が問題です。調査をしたか?調査から何か分かったか?その根拠は?「なるほど!」と思わせるか?などです。今後みなさんが書くことになるだろうリサーチ・ペーパーの形式も大事ですが、やはり内容です。発想はよくても内容がなければ意味がないでしょう。
私はこの授業では、やはり「考える」「自己を探求する」ということを重視しようと思っていました。それも答えのないような問題を「考える」、あるいは、複雑な状況にいる「自己を探求する」しながら、教師としての考え方を身につける、多様な状況に「自分の頭で考える」あるいは「自分の問題を他者と共有しながら探求する」ということをしたいと思いました。目的は達成されませんが、私自身、みなさんと過ごした何ヶ月かはたいへん貴重で勉強になりました。ありがとう。
レポートの評価のポイントは、その点からさせてもらいます。成績とみなさん自身の評価は違います。教師となる人、教育に関心のある人はぜひいつでもいっしょに考えましょう。声をかけてください。
以下レポートの感想(順不同)
1英語教育におけるTPR
Total Physical Responseはとてもおもしろいアプローチです。授業ではもっと利用されるべきでしょうね。多くの文献もあり、実践もあります。もっと探求する必要があるでしょう。これを機会にもっと研究してください。英語授業に適宜利用することは効果的です。
2リフレクティブ・ラーニング
ちょっと量が少なく、単なる感想なので説得力はありませんが、「振り返り」は大切です。また、「間を取る」ことも大切です。それはどうしてですか?また、どうやってそれをするのですか?などを論じないと意味がないでしょう。発想はとても好きです。
3外国語授業における教師の役割
レポートしてはとてもよくまとまっていて、文献なども適切にあります。教師は有機的であるべきという結論もよいでしょう。しかし、多くの心ある教師はそうしようとしているような気がします。では、どうして変わらないのでしょうか?それが大切だと思います。
4外国人英語教師からみた日本の生徒
おもしろいと思います。興味がありますね。もっとデータを集めて、焦点をしぼれてきたら、とても貴重な研究になるような気がします。なんとなく根拠のないステレオタイプの考え方があるような気がするし、状況によって違うし、教師と生徒(学生)意識の違いがあるように思います。ぜひ探求してもらいたい。
5英語の早期教育
塾はたくさんあります。ここではある有名な塾に焦点を当てた。ちょっと調査が足りないのが残念です。無理にまとめてますが、もっともっと実態を調査しないとレポートの意味がないかもしれません。着眼点はとてもよかったので、もっと探求する気持ちを。
6外国人留学生・編入生が日本人在学生に与える影響
発想はとてもおもしろいし、自分の興味に適した話題だったと思います。多言語多文化が当たり前の国からすると日本はだいぶ違う環境ですが、これからは変わっていくべきだと思います。その点で、もう少し深く追求して、さらに教師の本音に踏み込むべきでしょう。
7教師と子どもの変容につながる授業観察の観点と教師に対するフィードバック
データがあってとても興味深いです。背景をもっときちんとまとめて、調査対象と方法を明確に整理して示し、結果と考察をきちんとすれば、かなり価値があるように思います。授業というよりも、学習支援指導活動に焦点を当てて、そこでの学びを見るようにするとよいと思いました。
8南米とヨーロッパの英語教育比較
リサーチペーパーの形式を理解し、きちんとまとめるとおもしろいと思いました。データは貴重で、もっと教師と生徒との関係に焦点をしぼり、やはり日本の英語授業の教師と生徒の関係を論じてほしかったですね。なんとなくデータを集めて無理矢理まとめた感じ。
9学習指導要領と現場の声
一所懸命調べた努力は認めたいと思うが、学習指導要領に関する背景はもっと調べないといけません。現場の声は貴重です。自分の考えや考察は、現場の声というデータを根拠にまとめないと説得力がありません。現場の声は貴重なので、それを大切にしてほしい。
10 学校外の英語教師研究
貴重なインタビューデータがありますが、全体的にうまくまとまっていないのが残念。塾などの教師の声はあまりまとまったデータがないので、貴重です。特に、さいごの「教えることに集中できる塾や予備校が過ごしやすい」は興味深く追求したいテーマです。
11英語を使って授業をする
自身の教育実習体験を通じて、英語で授業をすることの意味を考えた。あまり大きく考えずに、自分自身の課題を解決することを考えた点は評価に値します。説得力もある。この授業のテーマに最も合っていると思います。欲を言えば、背景をきちんと考えたい。
12 沖縄の米軍基地と英語演習
かなりおもしろいテーマです。何気なく訪れた場所でふとした疑問を発端として調査が始まり、そこからさらに出会いを通じて、テーマを追求するというのは、教師研究としては重要な探求方法です。まとめるのはむずかしいかもしれないので焦点をしぼって探求するといい形でまとまると思います。
13 これからの英語教師
レポートが感想文のようになったのが残念。アンケート結果は少ないけどけっこうおもしろい。学生が教師に対して持っているイメージは貴重なデータだと思う。その点をもっと分析すべきだった。他者を知って、かつ、自分を知る、ということから教師の研究は始まる。
14 教師は私生活でも模範的であるべきか
これも感想文のようになってしまったのが残念。ぜひ研究者の視点に立って、まとめて欲しかった。というのは、このテーマけっこう大切なテーマで、モデルという視点からすれば、結構文献はある。インタビュー結果は貴重だし、教師としては悩ましい問題で、とても興味深い。
15 観察の徒弟制と教員研修
うまくまとめようとした感じだ。テーマはとてもおもしろいし、文献もよく調べている。形式もきちんとして、この授業では一番求めていたレポートに近い。データは結構おもしろいと思う。分析のしかたとまとめ方が課題だ。養成課程の学生の認知をBALLIでまとめるだけでも貴重なデータだし、インタビューもテーマをしぼって分析することで、何か大切なものが見えるような気がする。ぜひ探求していほしい。
16 高校教師の意識(仮題)
母校の教師にインタビューして、教師の意識を調べてみた。調査の視点がぼんやりとしているので、まとまりに欠けるが、たぶん自分の母校を再度違った視点で見るという点では価値があると思う。しかし、本当に知りたいことは何だったのだろうか?
このブログは私のメモですが、何か疑問に思ったことがあれば連絡ください。どなたか「言語教師認知」の研究を深くやりたい人はぜひお願いします。
では、またどこかで。
第6回発表
第6回発表
Nさんの教師と子どもの変容について
Teach for JapanというNPO団体での活動を背景として、授業観察について話してくれました。「教える」「学ぶ」ということは、様々な状況が考えられるんだと思います。この活動の「教える」「学ぶ」は、いわゆる小中高の教育とはちょっと違うのでしょうが、若い人たちがボランティアで子どもと向き合う活動をしているのは立派だなと思いました。Nさんも熱心に教育を考えているし、授業観察ということを真剣に考えているのが印象的でした。観察(observation)というのは、私が考えている授業研究(lesson study)では最も大切なことだと思っています。見ている人は「私」です。見られている人は「教師」であり「生徒」であり、「教師と生徒の関係性」であり、多様です。Nさんは、観察を通して「変容」ということを考えました。ここでは観察する人と観察される人の省察を通して、気づきを見ようとしています。その際に言語化ということが重要となりますが、私は話を聞いていて、本当にそれで「人は変わるだろうか?」と思いました。これはむずかしい問題だと思っています。人が持っている信条・信念(beliefs)はかなり強固です。そうは簡単に変わりません。また、あまりころころと変わるのもどうかと思います。おそらく「変容」というよりは、自分の信条・信念(beliefs)をもとにして、その状況にうまく合わせるために、どうするかという問題かと考えました。その際に、観察し、観察を通して、互いに省察をくり返し、適応する、ということが、成長につながるのかな、と考えました。Nさんが探求しようとしていることはたいへん面白いと思います。私にもよく分かりませんが、フィードバックをこうしたら、こう変わる、という単純なことではないように思いますが、観察することにより、もっと何かが見えて来るでしょう。これは教師の研究としてはとても大切なことです。
Aさんの教育実習
Aさんは、この授業を聴講として取ってくれました。何か教師になるための準備として役に立っただろうかと危惧します。教育実習の話を率直にしてくれましたので、ここでは教育実習中のA さんの授業を見に行きましたので、それについて感想を一言述べておきます。教育実習というのは短いし、多くの人が充実した経験をするようです。しかし、その経験はかなり多様です。同じような経験をしても決して同じではありません。さて、「3週間で何を学んだのでしょうか?」と自問してみると分かります。授業のやり方、生徒の扱い方、学校のしくみなどなど、それなりの成果はあったはずです。「英語で授業をする」「生徒のことを考える」「文法はやはり大切だ」など、自分の教育観に何か影響を与えたでしょうか?私は、教育実習でいつも思うことは、その人がどういう目的で教育実習に行ったか?どういう教師と出会ったか?どんな生徒と向き合ったか?などで成果はかなり変わると思います。また、教育実習後から実際に教師となるまでがまた大切だと思います。さて、Aさんの授業ですが、私が見たのはCLILと読んでいる授業です。私はCLIL的な考え方を持って英語授業をすることはとても大切だとずっと思っています。AさんのCLILは、英語を何か興味ある内容を扱って、内容に焦点を当てることで、英語を使う活動を、主体的にすることです。英語という言語の知識や技能に明確に焦点を当てるのはではなく、内容に焦点を当てながら、英語という言語と日本語という言語と文化理解を「考える」のです。授業は決して見栄えがよいものではありませんが、生徒はけっこう満足して「学び」ます。Aさんの授業のときも、生徒がそのときの内容に興味を持って「学んで」いました。一番大切なことは、Aさんが「学ぶ」ということです。ぜひこれからも実践してほしいです。
Mさんの教員養成課程について
Mさんは、とてもよく勉強していて、おそらくこのクラスで一番「言語教師認知(language teacher cognition)」を理解している人だと思います。ぜひ興味を持って追求してもらいたいと話を聞いていて思いました。日本の教員養成システムには問題が多いです。みんな分かっているのに変わらないのです。その背景には歴史があります。おそらくこれからも変わらないでしょう。しかし、実際に英語教師となっている若い人はだいぶ昔とは変わっているようにも思うことがあります。そのような人が実際の教育現場に入ったときに、どのように教師としてスタートを切れるかどうかでその後がかなり変わります。養成課程ではSLAなどの研究と教師教育などの理論と実践においては少しずつ内容はよくなっています。問題はその量と質です。圧倒的に少ないし、そのような教育を受けた人が必ず教師になる訳ではありません。また、教員採用試験で、教員養成で求められていることがそのまま反映されている訳でもありません。受験や部活動やその他の学校教育に内在するシステムに抗う事はやはりできないし、それは社会のニーズでもあるので、それに従わない訳にはいきません。非常にむずかしい問題がたくさんあります。しかし、私はMさんが興味を持って探求しようとしていることは大切だとずっと思っています。「教師が考えないかぎり何も変わらない」ということです。英語で授業をするかどうかは表面的なことです。確かに教師は英語を話すことに自信がない人が多いかもしれませんが、そのように思わせてしまう何かがあるのでしょう。私も教員養成にかかわる一人として、Mさんの話には考えさせられます。ぜひいろいろと考えてほしいとつくづく思います。
みなさん、ありがとう。さいごにレポートの感想を次の投稿でしておきます。
Nさんの教師と子どもの変容について
Teach for JapanというNPO団体での活動を背景として、授業観察について話してくれました。「教える」「学ぶ」ということは、様々な状況が考えられるんだと思います。この活動の「教える」「学ぶ」は、いわゆる小中高の教育とはちょっと違うのでしょうが、若い人たちがボランティアで子どもと向き合う活動をしているのは立派だなと思いました。Nさんも熱心に教育を考えているし、授業観察ということを真剣に考えているのが印象的でした。観察(observation)というのは、私が考えている授業研究(lesson study)では最も大切なことだと思っています。見ている人は「私」です。見られている人は「教師」であり「生徒」であり、「教師と生徒の関係性」であり、多様です。Nさんは、観察を通して「変容」ということを考えました。ここでは観察する人と観察される人の省察を通して、気づきを見ようとしています。その際に言語化ということが重要となりますが、私は話を聞いていて、本当にそれで「人は変わるだろうか?」と思いました。これはむずかしい問題だと思っています。人が持っている信条・信念(beliefs)はかなり強固です。そうは簡単に変わりません。また、あまりころころと変わるのもどうかと思います。おそらく「変容」というよりは、自分の信条・信念(beliefs)をもとにして、その状況にうまく合わせるために、どうするかという問題かと考えました。その際に、観察し、観察を通して、互いに省察をくり返し、適応する、ということが、成長につながるのかな、と考えました。Nさんが探求しようとしていることはたいへん面白いと思います。私にもよく分かりませんが、フィードバックをこうしたら、こう変わる、という単純なことではないように思いますが、観察することにより、もっと何かが見えて来るでしょう。これは教師の研究としてはとても大切なことです。
Aさんの教育実習
Aさんは、この授業を聴講として取ってくれました。何か教師になるための準備として役に立っただろうかと危惧します。教育実習の話を率直にしてくれましたので、ここでは教育実習中のA さんの授業を見に行きましたので、それについて感想を一言述べておきます。教育実習というのは短いし、多くの人が充実した経験をするようです。しかし、その経験はかなり多様です。同じような経験をしても決して同じではありません。さて、「3週間で何を学んだのでしょうか?」と自問してみると分かります。授業のやり方、生徒の扱い方、学校のしくみなどなど、それなりの成果はあったはずです。「英語で授業をする」「生徒のことを考える」「文法はやはり大切だ」など、自分の教育観に何か影響を与えたでしょうか?私は、教育実習でいつも思うことは、その人がどういう目的で教育実習に行ったか?どういう教師と出会ったか?どんな生徒と向き合ったか?などで成果はかなり変わると思います。また、教育実習後から実際に教師となるまでがまた大切だと思います。さて、Aさんの授業ですが、私が見たのはCLILと読んでいる授業です。私はCLIL的な考え方を持って英語授業をすることはとても大切だとずっと思っています。AさんのCLILは、英語を何か興味ある内容を扱って、内容に焦点を当てることで、英語を使う活動を、主体的にすることです。英語という言語の知識や技能に明確に焦点を当てるのはではなく、内容に焦点を当てながら、英語という言語と日本語という言語と文化理解を「考える」のです。授業は決して見栄えがよいものではありませんが、生徒はけっこう満足して「学び」ます。Aさんの授業のときも、生徒がそのときの内容に興味を持って「学んで」いました。一番大切なことは、Aさんが「学ぶ」ということです。ぜひこれからも実践してほしいです。
Mさんの教員養成課程について
Mさんは、とてもよく勉強していて、おそらくこのクラスで一番「言語教師認知(language teacher cognition)」を理解している人だと思います。ぜひ興味を持って追求してもらいたいと話を聞いていて思いました。日本の教員養成システムには問題が多いです。みんな分かっているのに変わらないのです。その背景には歴史があります。おそらくこれからも変わらないでしょう。しかし、実際に英語教師となっている若い人はだいぶ昔とは変わっているようにも思うことがあります。そのような人が実際の教育現場に入ったときに、どのように教師としてスタートを切れるかどうかでその後がかなり変わります。養成課程ではSLAなどの研究と教師教育などの理論と実践においては少しずつ内容はよくなっています。問題はその量と質です。圧倒的に少ないし、そのような教育を受けた人が必ず教師になる訳ではありません。また、教員採用試験で、教員養成で求められていることがそのまま反映されている訳でもありません。受験や部活動やその他の学校教育に内在するシステムに抗う事はやはりできないし、それは社会のニーズでもあるので、それに従わない訳にはいきません。非常にむずかしい問題がたくさんあります。しかし、私はMさんが興味を持って探求しようとしていることは大切だとずっと思っています。「教師が考えないかぎり何も変わらない」ということです。英語で授業をするかどうかは表面的なことです。確かに教師は英語を話すことに自信がない人が多いかもしれませんが、そのように思わせてしまう何かがあるのでしょう。私も教員養成にかかわる一人として、Mさんの話には考えさせられます。ぜひいろいろと考えてほしいとつくづく思います。
みなさん、ありがとう。さいごにレポートの感想を次の投稿でしておきます。
2014年7月13日日曜日
第5回発表会
HさんのKUMONなどの英語塾や英会話教室の教師
いろいろと何を調査するのか迷っている様子が分かりました。それっていうのは無駄のような気がしますが、けっこう大切なことです。最終的に行き着いたのが、こどもへの英語教育でした。身近にいたKUMONで教えている人に聞いてみました。質問はあまり深い質問ではありませんが、KUMONを知る意味では重要です。KUMONは世界的にもLiteracy教育で知られています。興味ある人はウェブを見てください。
KUMON
そこに、次のようにKUMON METHODを説明しています。
Learning How to Learn
Kumon is an academic program like no other. Instead of passively receiving instruction from teachers or tutors, Kumon Students actively develop self-learning skills. Here’s how.
Each student progresses at his or her own pace through an individualized program of worksheets carefully planned by the Instructor.
Students do daily assignments that take about 30 minutes per subject— in two sessions a week at the Kumon Center, and the other five at home.
Step by logical step, students steadily build a solid grasp of math and reading, and become more confident and motivated with each worksheet solved.
「学び方を学ぶ」ということです。
教師の役割については
The Kumon Instructor
The Kumon Instructor guides, assesses and encourages your child every step of the way. The Instructor is also there to support you as well – providing open communication throughout your Kumon experience.
教師の役割は、案内、評価、励まし、です。
調査のポイントは、英語でそれがどのようにできるのかということでしょうね。問題もあるでしょう。
さらに、他の塾や英会話を調べてみるということですが、私は、KUMONだけにしぼってもっと深く考えてみるのがよいと思いました。いずれにしても、うまくまとめようとせずに、実態を的確に理解することがよいと思います。
調査内容はおもしろいので期待します。
Nさんの母校の教育と外国から留学生などの影響
私は、N さんの母校の教育に興味を持ちました。日本の教育も様々な取り組みをしているんだなと感じました。英語圏へ行ってそこで教育を経験する、外国から留学生や英語が堪能な編入生などを受け入れ、生徒の学習環境を活性化しようとかなり努力していて、いい学校だと思いました。
Nさんの母校だけではなく、他の人たちが卒業した学校などの話を聞くと、各学校とも様々に努力してよい教育をしているということが分かります。また、学校によってけっこう違うということが分かるのですが、大学受験や部活動などに関する目的は共通しているかもしれません。もっと多様な進路や活動があってもよいかもしれません。
Nさんは母校の先生にインタビューしました。とても熱心なよい先生だと思います。教育は先生あって成り立つものですが、先生があまり前面に出ないほうが学校は活性化するように思います。Nさんの母校はたぶん教師と生徒の関係が近く、互いに信頼が厚いのかなと思いました。
さて、それはそれとして、調査の方ですが、先生にもっと深くいろいろと質問できればおもしろいと思いました。外国人留学生を受け入れる際の苦労、もっとこうしたいなどの展望、外国人生徒との日本の生徒との交流、英語教育への効果、他教科を英語で教えるなどの可能性、大学受験との関連性、中高一貫の課題など、本音が聞けるとよいと思います。
それが無理であれば、Nさんは卒業生ですから、Nさんの経験をもとにした留学生の意義、留学の意味などを再度考えてみてはどうでしょう。あるいは友人に聞いてみてはどうでしょうか。
あまりきれいにまとめようとせず、外国からの留学生についての教師の意図と実際の生徒から見たその意義を考察してみてはどうでしょうか?私はその点をもっと知りたいと思います。
Yくんの教師の役割
Yくんの発表はとても上手で、まとまりを持っていました。背景もきちんと理解し、リサーチ方法の観点もよくできています。うまくまとめられると思います。
教師の役割というのは、結論がありそうでないかもしれません。多様な結論があるでしょうね。歴史的、社会的、経済的、文化的などを考慮すると大きなテーマです。教師の定義がかなり幅が広いし、英語教師という括りもかなり広いからです。
この授業は一応、中高の教員養成課程に関係する内容と関連するので、その点から英語教師を考えると、次の法的な定義をベースに考える必要があります。
ーーーーーーーーーー
法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。(教育基本法)
教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。(教育公務員特例法)
ーーーーーーーーーー
Yくんが言う「教師は学び続けなければならない」というのはその通りであり、それだからこそ教師は面白い仕事だとなります。また、教師は「全体の奉仕者」とされるので、生徒の学習などの支援をし学習意欲を喚起することが大切となります。
大学進学率のデータなども示し、教師を大きく捉えていますが、私個人としては、このような発表を受けて、教育実習での実際教師体験を重ねることにより、中学や高校での英語教師の役割とその問題点などを論じてはどうかと思います。果たして教師は学び続けることができるのか?あるいは、何をどう学ぶのか?など。
この授業は、当初言いましたが、teacher research(教師によるリサーチ)をテーマとしています。教師は考えること、探求すること、省察することなどを通して、自身の力量を高め、よりよい授業をしていくことが大切です。そのためにはどうしたらよいのかを、Yくんの考えで述べてもらうとおもしろいと思いました。
以上、来週、発表する人も含めて、間違いを恐れず、小さくレポートをまとめようとせず、結論はなくてもけっこうですから、大胆な観点を一応のデータなりを示すことで論じてください。テーマはとてもおもしろいものばかりなので期待しています。
いろいろと何を調査するのか迷っている様子が分かりました。それっていうのは無駄のような気がしますが、けっこう大切なことです。最終的に行き着いたのが、こどもへの英語教育でした。身近にいたKUMONで教えている人に聞いてみました。質問はあまり深い質問ではありませんが、KUMONを知る意味では重要です。KUMONは世界的にもLiteracy教育で知られています。興味ある人はウェブを見てください。
KUMON
そこに、次のようにKUMON METHODを説明しています。
Learning How to Learn
Kumon is an academic program like no other. Instead of passively receiving instruction from teachers or tutors, Kumon Students actively develop self-learning skills. Here’s how.
Each student progresses at his or her own pace through an individualized program of worksheets carefully planned by the Instructor.
Students do daily assignments that take about 30 minutes per subject— in two sessions a week at the Kumon Center, and the other five at home.
Step by logical step, students steadily build a solid grasp of math and reading, and become more confident and motivated with each worksheet solved.
「学び方を学ぶ」ということです。
教師の役割については
The Kumon Instructor
The Kumon Instructor guides, assesses and encourages your child every step of the way. The Instructor is also there to support you as well – providing open communication throughout your Kumon experience.
教師の役割は、案内、評価、励まし、です。
調査のポイントは、英語でそれがどのようにできるのかということでしょうね。問題もあるでしょう。
さらに、他の塾や英会話を調べてみるということですが、私は、KUMONだけにしぼってもっと深く考えてみるのがよいと思いました。いずれにしても、うまくまとめようとせずに、実態を的確に理解することがよいと思います。
調査内容はおもしろいので期待します。
Nさんの母校の教育と外国から留学生などの影響
私は、N さんの母校の教育に興味を持ちました。日本の教育も様々な取り組みをしているんだなと感じました。英語圏へ行ってそこで教育を経験する、外国から留学生や英語が堪能な編入生などを受け入れ、生徒の学習環境を活性化しようとかなり努力していて、いい学校だと思いました。
Nさんの母校だけではなく、他の人たちが卒業した学校などの話を聞くと、各学校とも様々に努力してよい教育をしているということが分かります。また、学校によってけっこう違うということが分かるのですが、大学受験や部活動などに関する目的は共通しているかもしれません。もっと多様な進路や活動があってもよいかもしれません。
Nさんは母校の先生にインタビューしました。とても熱心なよい先生だと思います。教育は先生あって成り立つものですが、先生があまり前面に出ないほうが学校は活性化するように思います。Nさんの母校はたぶん教師と生徒の関係が近く、互いに信頼が厚いのかなと思いました。
さて、それはそれとして、調査の方ですが、先生にもっと深くいろいろと質問できればおもしろいと思いました。外国人留学生を受け入れる際の苦労、もっとこうしたいなどの展望、外国人生徒との日本の生徒との交流、英語教育への効果、他教科を英語で教えるなどの可能性、大学受験との関連性、中高一貫の課題など、本音が聞けるとよいと思います。
それが無理であれば、Nさんは卒業生ですから、Nさんの経験をもとにした留学生の意義、留学の意味などを再度考えてみてはどうでしょう。あるいは友人に聞いてみてはどうでしょうか。
あまりきれいにまとめようとせず、外国からの留学生についての教師の意図と実際の生徒から見たその意義を考察してみてはどうでしょうか?私はその点をもっと知りたいと思います。
Yくんの教師の役割
Yくんの発表はとても上手で、まとまりを持っていました。背景もきちんと理解し、リサーチ方法の観点もよくできています。うまくまとめられると思います。
教師の役割というのは、結論がありそうでないかもしれません。多様な結論があるでしょうね。歴史的、社会的、経済的、文化的などを考慮すると大きなテーマです。教師の定義がかなり幅が広いし、英語教師という括りもかなり広いからです。
この授業は一応、中高の教員養成課程に関係する内容と関連するので、その点から英語教師を考えると、次の法的な定義をベースに考える必要があります。
ーーーーーーーーーー
法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。(教育基本法)
教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。(教育公務員特例法)
ーーーーーーーーーー
Yくんが言う「教師は学び続けなければならない」というのはその通りであり、それだからこそ教師は面白い仕事だとなります。また、教師は「全体の奉仕者」とされるので、生徒の学習などの支援をし学習意欲を喚起することが大切となります。
大学進学率のデータなども示し、教師を大きく捉えていますが、私個人としては、このような発表を受けて、教育実習での実際教師体験を重ねることにより、中学や高校での英語教師の役割とその問題点などを論じてはどうかと思います。果たして教師は学び続けることができるのか?あるいは、何をどう学ぶのか?など。
この授業は、当初言いましたが、teacher research(教師によるリサーチ)をテーマとしています。教師は考えること、探求すること、省察することなどを通して、自身の力量を高め、よりよい授業をしていくことが大切です。そのためにはどうしたらよいのかを、Yくんの考えで述べてもらうとおもしろいと思いました。
以上、来週、発表する人も含めて、間違いを恐れず、小さくレポートをまとめようとせず、結論はなくてもけっこうですから、大胆な観点を一応のデータなりを示すことで論じてください。テーマはとてもおもしろいものばかりなので期待しています。
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